【MFA健康コラムVol.103】疲労の正体と対処法 その1
前回に続き、疲労についての記事である。
年度はじめから、新しい環境で動きだしている方もいるだろう。そんな方は実は、無意識、無自覚のところで疲労が溜まっているかもしれない。
今回は捉え所のない疲労の正体についてお話する。
【疲労とは?】
日本疲労学会では、疲労を次のように定義している。
”過度の肉体的および精神的、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態である”
要は、体を動かしたり、頭を使ったりすることで、本来の活動能力が下がった状態、これが疲労の正体である。
現代では特に体を使った疲労よりも、ネットを使った業務や、スマホを使っての長時間の操作などが重なり、脳への疲労も軽視できない。その部分も広く捉えて、疲労に対してのアプローチが必要になってくるのである。
疲労を放っておくと、重大な病気を招く可能性がある。「たかが疲労」ではないのだ。
人間にはホメオスタシスと言って、いつもの状態を保つ機能が備わっている。しかし、疲労が溜まってくると回復することができなくなり、その結果、「何となくの不調」から「病気」に変わっていくことになるのだ。
【疲労の種類】
疲労には急性疲労、亜急性疲労、慢性疲労の3つがある。
急性疲労は1日〜数日寝れば回復する程度の疲労である。
亜急性疲労は寝ただけでは回復せず、疲労感が1週間〜数ヶ月続く状態のことを言う。
疲労が数年続くと、慢性疲労の状態となってくるのである。
慢性疲労の状態から、慢性疲労症候群を発症することもありえる。同義として捉えられる言葉であるが、慢性疲労は疲労の原因がはっきりしている時の状態。慢性疲労症候群は、脳脊髄という中枢系の炎症で、頭痛や発熱があり疲労感が半年以上続く病気の一種である。
【対処法の前に、まずは気付くこと】
フィジカルでもメンタルでも、アプローチをしていく時に大切な前提が、「自分自身に気付く」ことである。
これをメタ認知というが、「今の自分の状態」をモニターする能力の一つと言っても良いだろう。
昨日と今日を比べても良いし、調子が良い時と比べても良いかもしれない。
生きてる限り、人間はリズムがある中で24時間を生活しているが、気づかぬうちに少しずつ疲労は溜まり、気付いた時には具体的な症状となって、回復までに数ヶ月〜数年かかることもあり得る。
そうならないために、日々、疲労感を感じる、またはいつも通りではない違和感を感じる力を、自分に矢印を向けることで少しずつ養って欲しいところである。
次回は日常から実践できる疲労へのアプローチ法を、幾つか紹介する。
参考文献
久賀谷 亮「世界のエリートがやっている最高の休息法「脳科学×瞑想」で集中力が高まる」ダイヤモンド社,2016
片野 秀樹「休養学:あなたを疲れから救う」東洋経済新報社,2024