【MFA健康コラムVol.79】”習慣”についての理解を深める② その2
3月も後半。新生活に向けて、忙しい時期でもあるだろう。
前回は「習慣化」についての具体的な方法についてお話した。
今回は目標達成に向けての計画の立て方と実行について、お話をしたい。
【スケジューリングのコツ】
スケジューリング、すなわち計画を立てる手順には基本的に2つの方法がある。
現在を起点に順々に計算して目標達成の時期を推定する「順行スケジューリング」と、最終的な目標を達成する時期、つまり未来を起点に逆算して今すべきことを選択する「逆算スケジューリング」だ。
成功と幸福のカギが何であるか見つけ出すための研究を50年以上も続けてきたハーバード大学のエドワード・バンフィールド博士は、「我々の社会で最も成功した人は、10年後、20年後の未来を考える長期的な展望を持っていた」と自らの考えを整理している。
大成功だけが人生の全てではないが、成功が一つの目標達成とするならば、上記の研究を参考に、未来から逆算して現在の行動を選択する習慣を持ちさえすれば良いのかもしれない。
参考までに、逆算スケジューリングの3つのステップを紹介する。
①ステップ1:まず、達成したい目標と最終的な期限をはっきりと定める。
②ステップ2:目標を達成するプロセスにおける小目標と期限を定める。
③ステップ3:目標に関する最初の仕事を選んで、直ちに実践に移す。
【何かをはじめることを”公開”してみる】
何か新しいことを始める時に、皆さんは自分一人で決心し、行動に移すタイプか、誰かにそれを「公開」するタイプのどちらだろうか?
人は言葉や文章で自分の考えを公開すると、その考えを最後まで守ろうとする傾向がある。これを「公開宣言効果」という。
決心を公に宣言するとなぜ、撤回するのが難しくなるのだろうか。理由は3つある。
第1に、言葉が私たちの行動を決定するから、だ。
人は、自分の言葉を行動を通じて、自分の態度を判断するようになり、態度は行動を決定する。だから、言葉を変えれば行動が変わるのである。
第2に、否定的な評価を受け入れなくないから、である。
人は言葉と行動が違う人物に対して「内と外が違う」などの否定的な評価を与える傾向がある。一方、言葉と行動が一致している人物に対しては「信頼できる」「裏表がない」などの肯定的な評価をするようになる。
第3に、ストレスを減らすことができるからだ。
人は自分の言葉と行動が一致しないとき、自己認識に矛盾が生じストレスを受ける。そこで何とかして自分の行動と言葉を一致させてストレスを減らし、精神的安定を求めようとする傾向がある。これを心理学では「認知的不協和理論」という。
また、決心を公開することが目標達成の助けになる理由がもう一つある。
それは、実行が困難になって途中で諦めたくなった時(習慣化が途絶えそうなとき)に、自分の決心を知っている知人や家族からの援助を受けられることだ。全てを一人で完結することはない。人が他人と共存するのがこの地球の宿命であるならば、一人で完結するよりも、他人に頼り生きていく方が、より人間らしい行いなのかもしれない。
ひとえに習慣化と言っても、様々な解釈や取り組み方がある。
もちろん、継続すること自体が目的ではなく、その先にある成りたい姿や目標達成がゴールであろう。しかし、そのためには習慣化が壁になることが多々あるのではないだろうか。
前回から続くこの記事を参考に、自分に合う解決法や習慣化への向き合い方を知り、皆さんの未来が皆さんの望むものになっていくことを願う。
参考書籍
イ・ミンギュ「『後回し』にしない技術『すぐやる人』になる20の方法」,文響社
スティーヴン・ガイズ「小さな習慣」,ダイヤモンド社