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【MFA健康コラムVol.75】取り込む情報にこだわってみる その2

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MFAオフィシャル健康コラム

【MFA健康コラムVol.75】取り込む情報にこだわってみる その2

前回は「外側の世界」にある情報と自分との関係についてお話をした。

今回は取り込まれた情報が、脳内でどのように処理されるのか、についてお話をする。

 

 

 

【脳が処理できる情報は1000分の1という事】

 

私たちの脳は、一度にたくさんの情報を処理できないように仕組み化されている。

脳の下部にはRASという構造体があり、約1000もの神経核が存在していることが確認されている。RASは自律神経系、行動、感覚、認知、情動など、様々な機能に貢献することで知られている。

様々な情報を集約する構造体であるが、私たちの内外からやってくる情報全てが私たちの意識に上ったり、学習されたりするわけではない。私たちが何かを意識したり、あるいはその情報を学習したりするためには、脳の下部にあるRASに届けられた情報を、さらに上部の脳の構造体に届ける必要がある。

しかし、この上部まで届けられる情報が、RASでは約1000分の1程度しか処理できないと言われているようだ。

 

合図はどんどん来る | 引き寄せの法則を量子論と脳科学をベース ...

 

例えば、今、この記事を読んでいる皆さんは、携帯かパソコンで文章を見ているとしよう。

その時、周囲の人の存在はどうだろうか?また、その空間の匂いはどうだろうか?何か音は聞こえていないか?携帯を持つ手の、携帯の重みはどうだろうか?もし、コーヒーを飲んでいるとしたら、コーヒーから立ち上る香りはどうだろうか?

それら全ての情報を脳のRASを通過して、脳の上部まで届けていたら、情報過多となって、おそらくこの記事の半分も読み進めることができないだろう。

 

瞬間瞬間で、私たちの関わることのできる世界はあまりに限定的であって、自分の脳に処理させる情報は、ある程度自分の意思と思いを持って取捨選択し、自分の人生を作る必要があるということである。

その作業を、前述した「外側の世界」の、かつ、ネガティブなことの虜になっている状態で行ってしまえば、どんな性格になっているだろうか?どんな人間になっているだろうか?想像してみて欲しい。

 

 

 

【ポジティブなことを”意思的”に取り込む】

 

以前の記事でも紹介したことがあるが、私たちの注意対象の特徴はポジティブなことよりもネガティブなものに優先的に注意を向けやすい「ネガティビティバイアス」というものを持っている。

人類が進化していく上で、このネガティビティバイアスは非常に大切な機能であった。

自己の脳にない情報、例えば動植物などは下手すると死に直結する可能性があったため、エラーとして検知させ、脳からの警戒アラートを出す必要があったのだ。

 

脳内では、このエラー検知は前帯状皮質(ACC)という脳部位が大きな役割を担っている。

面白いことに、脳の解剖学を紐解いていくと、このACCのエラー検知機能は定義されているが、ハッピーなことを検知するという脳機能は、特に定義されていないのである。

私たちの脳が、良いことやハッピーなことを見出す機能がないのではなく、そのことに特化した脳部位がないということ。そのために、前頭前皮質の役割を借りて、意識的にトップダウンの注意を働かせることにより、ポジティブなことも当然、見出すことができるのだ。

ポイントは、ネガティブな情報にはACCが機能して半自動的に、無意識に近い形で働いてくれるのだが、ポジティブな情報には、「意識的」な介入が必要になってくるということだ。

 

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大切なことは、ネガティブな情報に反応していることを否定せずに、その反応が自然であると認識すること。そして、少しでもポジティブな解釈ができないか、時間をとって考えてみること。

意識してその瞬間を捉えることで、ポジティブなことに気付けるかもしれない。

解釈だけでなく、ポジティブな情報を選択していくことも重要となってくる。

そして、無意識にネガティブに反応して構築されてきた自分の脳から、意識してポジティブなものを感じ取り込むことを続けていった脳に変わった時、自分の中でどんな変化が待っているだろうか。

RASの仕組みにより、ただでさえ処理できる情報に制限があるのなら、自分自身が、意識的に、取り込む内容にこだわりを持ってみる。

 

周囲の人との会話の癖、SNSでフォローしている人の投稿内容、何気なく観ているニュースやワイドショーなど。そして、自分自身の感情や考え方のパターン。

様々なことを棚卸しして、一気に断捨離するのではなく、整理してみる。

そしてその中身を、少しずつネガティブなものからポジティブなものに変換していくと、自分では想像もできないような自分に成れるかもしれない。

もちろん、今の自分自身の現状も受け入れ、その上で、少しずつの変化が脳(自分)にとっては優しいものとなるだろう。

 

 

 

参考書籍

田中 正敏「ストレスの脳科学 予防のヒントが見えてくる」,講談社

青砥 瑞人「HAPPY STRESS ストレスがあなたの脳を進化させる」,SBクリエイティブ

 

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