【MFA健康コラムVol.78】”習慣”についての理解を深める② その1
先月に引き続き「習慣化」についてのお話をお届けする。
前回の記事を読み、何を感じただろうか?
何かを始める時、決心をして行動に移す時、弊害になるのが自分自身ではなく、習慣化の方法を知らないだけだとしたら、どんな気持ちになるだろうか?
今回は具体的な方法について後述する。
【モチベーションは減退する】
何かを始める時にモチベーションに頼った結果、その取り組みが続かない、というケースは誰しも経験があるのではないだろうか?
このモチベーションの厄介なところの1つに、感情に基づいたものであることが挙げられる。
人間は昔から、自分自身の感情は変わりやすく予測が難しいとされてきた。
あらゆる要素が感情を左右してくる。何らかの出来事、血糖値、気分の落ち込み、体内の化学物質の変動、ホルモン、健康状態、外部からの刺激、エネルギーレベル、信念など、あらゆるものが感情に影響を与えることになる。
何かを始めよう!と決意したのは良いが、それを自身のモチベーションと常に隣り合わせで設定してしまうと、モチベーションの変化が自身の”習慣化”の邪魔をしてしまうかもしれない。
しかも、そのモチベーションを左右する要素の多いこと…
全てを整え、モチベーションを一定に保つことだけにエネルギーを費やすことになりかねない。
【熱意減退の法則】
何かを始める時のモチベーションに比べ、その取り組みが習慣化されていくに連れて感情が薄れていくことがある。もしかたら、退屈でつまらなく思えてくるかもしれない。
心理学者のジェレミー・ディーンは著書「良い習慣、悪い習慣」の中で、「習慣的行動は無意識に行われるだけではない。感情から切り離される。・・・習慣的行動は不思議なほど無感情に行われる。」と述べている。
これは、何をするにも”まずはモチベーションが大切”という考え方自体が、習慣づくりおいては不利ということである。
同じ行動の繰り返しによって興奮が高まることはなく、逆に薄れていく。習慣化が進めば進むほど、それを継続して行うことへの抵抗が少なくなり、どんどん自動的に行うようになるからである。
ある意味、「強い感情を引き起こさないことが、習慣化の利点のひとつ」とディーンは言っている。
感情に左右されず、「とりあえず、自身への期待値や習慣化のハードルを下げて」取り組んでみることも大切なのかもしれない。筋力トレーニングの習慣化であれば、例えば、1日1回の腕立て伏せをノルマにするなど。
とにかく感情は関係なく、小さく始めてみる。
【プロセスの視覚化】
上記の内容とは少し違った角度から、習慣化を掘り下げていく。
何か達成したい目標がある場合に、その成功のイメージを持つことが大切である。
しかし、それだけでは足りない。
具体的に、成功への道を探し出すことである。成功への過程でどんな障害にぶつかるのかを予想し、それを克服する方法を知っておくメリットは大きい。
成功を心から願い、夢を叶える姿を生き生きとイメージしたら、それが実現した成功例を、自分自身や他人の経験から振り返り、そして観察してみよう。その成功の裏には、他の人にないものがあることに気付く。
それは、目標達成に繋がる、自分だけのルートを探し出していることである。このルートを探し出す作業を「ルート探索」と言う。そして、目標達成までに何を行い、障害にぶつかった時にどのように解決するかなど、成功までのプロセスを生き生きとイメージすることを「プロセスの視覚化」という。
何かを継続して続ける。その先に自分の思い描く目標達成があるとするならば、「ゴールの視覚化」よりも、目標までのルートを正しく捉える「プロセスの視覚化」や、どのような状況でも自分だけのルートを探し出す作業である「ルート探索」を、習慣化の中に組み込んでおくことも大切なことなのである。
次回は計画を立てる手順と「公開宣言効果」について、話をしていきたい。
参考書籍
イ・ミンギュ「『後回し』にしない技術『すぐやる人』になる20の方法」,文響社
スティーヴン・ガイズ「小さな習慣」,ダイヤモンド社