【MFA健康コラムVol.63】ウォーキングにおける靴選びについて その2
暑さが厳しい日々が続いている。
どうしても涼しい屋内で過ごしたくもなるが、十分に熱中症等への対策はしたうえで、心身の健康のために適度な運動はしたいものである。
前回は自分の足にあった最適なシューズを選ぶためのポイントをお伝えした。
今回はランニングシューズも選択肢に入れた場合の注意点についてお伝えする。
【ランニングシューズも検討してみる】
ウォーキング用だから、ウォーキング用のシューズが絶対良い。という訳ではないとしたら、どうだろうか?
もちろん、ウォーキングシューズでも良いが、ランニングシューズの方がデザインや機能のバリエーションが豊富で、選択肢が広がってくるからだ。
イメージしてもらえば分かると思うが、靴屋に行くと、ウォーキング用のシューズと、ランニング用のシューズの数に相当な差があるはずだ。
ウォーキングシューズは程よい重さのものが多い。十分な衝撃吸収性を確保した上で、振り子の原理を応用しながら足の踏み出しをサポートするためだ。そのためランニングシューズの場合、上級者用の「軽すぎる」シューズを選ぶと、十分な衝撃吸収性が確保できず、足に負担がかかって怪我の原因になる可能性がある。
店員にウォーキングで使いたいことを説明し、少し重めのランニング初心者用モデルを選ぶことをおすすめする。初心者用モデルシューズは、筋肉の不足を補うためにソール(靴底)が厚く安定しており、衝撃を吸収してくれるようにできているからである。
またソールの土踏まず部分に柔軟性があるものを選ぶようにすると良い。ウォーキングは、力強く蹴りだすことで推進力を生むため、土踏まず部分が固いと足に負担をかけることになる。
このようにいくつかのポイントを押さえた上で、ランニングシューズも選択肢に入れてみるのもいいのではないだろうか。
【流行りに乗ってみる】
多くの靴はスムーズな体重移動を促すため、つま先の位置と踵の位置の高さの差(高ドロップ)がある。その場合踵のほうがつま先より高く前傾姿勢になるので、自然と体重移動ができるという理屈である。
最近の靴のムーブメントは、ゼロドロップシューズといって、つま先の位置と踵の位置の高さに差がないものが流行している。簡単にわかりやすく言うと足袋を履いた感覚、自然な姿勢に近い靴である。
これは人間の素足に近い感覚を目的として設計されており、フォアフット走法という前足部で着地する走法に合わせて作られている。
ゼロドロップシューズは通常のランニングシューズに比べると傾斜角度が付いていない分、足の筋肉が必要なため、疲れる印象がある。ウォーキングなどの軽い運動に、ランニング用のゼロドロップシューズは合わなかったり違和感を感じるかもしれない。しかし、人にはそれぞれ個体差があるように、その形の靴の方が歩きやすく安定する人もいるかもしれない。
歩く時にどこの筋肉を使っているかを意識できる点においては、「正しく歩くため」のアイテムとして検討してみても良いのかもしれない。
ウォーキングに必要な靴について、さまざまな情報を今回もお伝えした。
それぞれの情報が全て「良い」わけでもなく、全てがご自身に該当する訳でもない。まずは、自分の足で靴を履いてみて、その時のフィット感や動きやすさを大切にしながら、靴選びから楽しんでいただきたい。
お気に入りの靴を見つけて、その靴を履き、少し気分の上がった状態でウォーキングを実施いただければ、見える景色や聴こえる音なども違ってくるかもしれない。
しっかりした熱中症対策の上で、ご自身のペースで無理のない範囲での実施を願いたい。
参考文献
「正しく歩いて、不調を治す。」田中 尚喜
「最大効果のウォーキング」中野ジェームズ修一
「東大式 世界一美しく正しい歩き方」小林 寛道
「ウォーキングトレーナー養成講習会テキスト」メディカル・フィットネス協会