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【MFA健康コラムVol.46】第2弾「食べ過ぎない」ということ その2

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MFAオフィシャル健康コラム

【MFA健康コラムVol.46】第2弾「食べ過ぎない」ということ その2

前回はセンテナリアンの生活習慣『ブルーゾーンパワー』について述べた。

今回は抗酸化物質と長寿の関係、食事量についてお話したいと思う。

 

 

【抗酸化と長寿】

 

沖縄の超高齢者と他の年代の人では、酸化ストレス(体のサビ具合の指標)が全く違うことが示されている。

沖縄在住の139人のセンテナリアンを対象に行った研究がある。

研究者はサツマイモなどの抗酸化物質が豊富な食品摂取が、体の酸化ストレスを軽減しているという仮説を立てた。そこで酸化ストレスの指標である血液中の過酸化脂質の量を各年代ごとに測定した。

 

結果は、研究者の仮説通り、センテナリアンの過酸化脂質は他の年代に比べて圧倒的に低く、過酸化脂質の低い人は100歳まで生存する可能性が高いことが示された。

また、過酸化脂質の割合は若い世代ほど高く、今後の沖縄は長寿が期待できないと考えらえる一つの要因となっている。

 

厚生労働省eJIM | 抗酸化物質 | 各種施術・療法 | 一般の方へ | 「統合医療」情報発信サイト

 

沖縄の長寿と若者を比べると、その食事に対する考え方や文化が変わってきている。

特にこの50年をみてみると、朝はご飯と味噌汁というスタイルから逸脱し、コンビニで済ませたり、「食べない」という習慣になっている人も少なくないだろう。

 

では、その食事習慣はどのように変わってきたのだろうか?

 

 

 

【いつから1日3食になったのか】

 

医師の青木厚氏は本人の著書「『空腹』こそ最強のクスリ」の中で、1日3食が理想的であるという考えには、確固たる裏付けはありません、とおっしゃっている。

NHKが2016年に実施した世論調査によると、平日に1日何食とるか?という質問に、「3食」と答えた人が最も多く81%を占めていたようである。

 

1日3食と6食、食べる量が同じならどちらが痩せる? 3日で驚きの結果が – ニュースサイトしらべぇ

 

これに対して青木氏は、1日3食をとると、

・胃腸をはじめ、内臓が十分に休むことができずに疲弊してしまう。

・体内で炎症が起きやすい。

・「食べ過ぎ」を招き、肥満になりやすい。

・高血糖になりやすい。

・老化が進みやすい。

と述べている。

 

 

日本で1日3食が始まった経緯は諸説あるが、いずれにせよ、江戸時代までは武士や大工などの肉体労働者以外は、1日2食が一般的だったようである。

江戸中期に物流が良くなったことで照明用の菜種油が広く流通し、活動時間が長くなったことが第一の理由として挙げられる。

1935年には国立栄養研究所から「日本人男性が1日に必要とするエネルギーは2500〜2700キロカロリーである」「それを2食でとるのは難しく、3分割しバランスをよくすることで、もっとも健康に生きることができる」と提唱されたことも、1日3食が定着する要因になったといわれている。

そもそも2500〜2700キロカロリーとはどれくらいの量か、現代ならだいたいのイメージもつくが、当時に「それが健康に生きるために必要」と言われれば、1日3食文化が定着していった理由が分からなくもない。

 

 

 

【食べ過ぎないことで食を天地に返す】

 

その昔、水野南北という男がいた。

生まれは250年ほど前の江戸時代。「修身録」「南北相法」を後に残す。

人相を極めた南北は、人相を良くするには「食べ過ぎないこと」「小食」が大切であると説いた人物である。

江戸時代の小食主義――水野南北『修身録』を読み解く | 若井 朝彦 |本 | 通販 | Amazon

 

南北がいう小食にはどんな利点があるのだろうか。

「小食でありかつ厳重な定まりある者は、たとえひどい運の持ち主であっても、それなりに福があって、また長寿を自分のものにする。暮らし、物事がおおよそ調い、老年にはよい思いもするだろう。弱々しい風貌に見えても病気はしない。」(第一巻十一)

 

ではなぜ、小食のものが長寿なのだろうか。

「小食の者は、おのれの持分の食を日々天地に返し、預けているのと同じだ。だから、天命に差し掛かっても、その食にもまだ残りがある。食ある限りいのちあり。死には至らない。その食が尽きるとき、いのちも自然と滅びる。」(第一巻三十五)

 

南北は大食のことを強食、暴食と説明する。

強食はゴウショクと読み、無理に詰め込むような食事のことをいう。暴食に至っては、前後の見境のない食事のことのようだ。

 

では大食だとどうなるのか。

「日頃より大食の者は、病みつきより食事をしないものだ。小食の者は病に縁はないが、もし病気になったとしても食事をしないということはない。大食をする者は、持分の食が先に尽きてしまう。だが、それでも与えられたいのちに残りがあるため、食が不自由なまま長く苦しむ。死がやってくるのはその後のことだ。」(第一巻三五)

 

こうも続ける。

「大食というのはなんとも勇ましい。気の強い人に見えるが、そのために人を遠ざける。したがって徳を失うものだ。」(第一巻一五)

 

小食にすることで自らの人生が開いていった南北自身の経験と共に、沢山の人の人相、そして食習慣を観察して得られたこのノウハウを実践した水野南北は、当時としては長寿にあたいする78歳で生涯を終えている。

 

本の紹介「無病法」 | 合同会社エスキージャパン

 

 

上記の内容は、この記事を読む方々がそれぞれ都合よく解釈して、都合よく実践して頂けると嬉しい。

 

食事は昔も今も、そしてこれからも未来においても私たちに日常に溶け込んでいる習慣である。その食事を、少し俯瞰視して見つめるキッカケとして頂きたい。

 

 

 

参考書籍

若井 朝彦「江戸時代の小食主義」

青木 厚「『空腹』こそ最強のクスリ」

石黒  成治「医師がすすめる少食ライフ」

 

 

【Vol.35】自分の現在地を知る、その後に その1

【Vol.36】自分の現在地を知る、その後に その2

【Vol.37】ストレスへの理解 その1

【Vol.38】ストレスへの理解 その2

【Vol.39】ストレスの役割 その1

【Vol.40】ストレスの役割 その2

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【Vol.42】熱中症についての理解 その2

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【Vol.45】第2弾「食べ過ぎない」ということ その1

 

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