【MFA健康コラムVol.110】集中力を”具体化”する その1
おそらくほとんどの方が、人生において1度は悩んだことがあるであろう”集中力”。
集中力があれば成し遂げることができたこと、叶えることができたことが、たくさんあったはずだ。
今回はそんな集中力を、具体的に脳の観点から紐解いてみたい。
【3つの神経伝達物質が鍵】
集中力を高める鍵を握っているのは、主に3つの神経伝達物質である。ドーパミン、ノルアドレナリン、β(ベータ)エンドルフィンだ。
神経伝達物質とは、脳の中で合成される化学物質のこと。集中力と関わりの深いこの3つの神経伝達物質の名前と働きについて紹介する。
まず、集中力を高めるエネルギー源となるのがドーパミンとノルアドレナリン。そしてβエンドルフィンはドーパミンが出やすい状態を保つ働きをする。この3つの神経伝達物質が今から紹介する2つのイメージで働くことをまずはおさえておきたい。
1つ目のイメージ
「ドーパミンはワクワクした感情や楽しさと共に分泌され、集中力を高める」
私たちが意図した方向に注意を向け、行動できているとき、ドーパミンが出て集中状態がより研ぎ澄まされていくのである。ただし、ドーパミンをエネルギー源にした集中状態は長く続かない傾向にあるというデメリットがある。
そこで重要になるのがβエンドルフィンだ。βエンドルフィンの力を借りることで、好奇心と共に駆け抜ける集中状態を長く保つことができるのだ。
2つ目のイメージ
「ノルアドレナリンは切迫感を抱いている時に分泌され、集中力を一時的に高める」
仕事の納期や締め切りが迫っているとき、身体的にしんどい状態でも乗り切らなければならないときなど、ストレスが強い状況に立ち向かう、または逃げ切るためにノルアドレナリンは分泌され、行動を促すエネルギー源となってくる。
これも対象となる一点に向けて注意を集める要素であり、苦境を乗り越える力になってくる。
ただし、ドーパミン性の集中力と同じく、持続力は弱いのが特徴だ。ノルアドレナリン性のエネルギーだけでは長期的な目標を達成することが難しいのである。
次回は、両者のバランスを見ていくことで集中力を4つに分類し、それぞれについて解説する。
参考文献
青砥 瑞人「4 Focus 脳が冴えわたる4つの集中」KADOKAWA,2021