【MFA健康コラムVol.100】身体に”良いモノ”の根拠 その2
後半は、データを元にした野菜に対する認識についてお届けすることとする。
【野菜についての日米比較】
こちらは前述したメタアナリシスの研究ではないが、1つ興味深いデータを紹介する。
日本人とアメリカ人の国民1人あたりの年間野菜摂取量を比較したデータだ。
1980年ではアメリカ104kgに対して日本120kgであったが、そこから30年経った2010年には数値が完全に逆転し、日本101kgに対しアメリカは113kgと伸びているのである。
そして令和の時代に入った今の日本では、100kgを切ってしまうほど減ってきているようである。
農林水産省「野菜をめぐる情勢」より引用
年代別で野菜摂取量の平均を比べると、日本では中高年ほど野菜摂取量が多く、もっとも多いのは60代で、続いて50代と30代となる。これに対し、アメリカでは30代がもっとも多く、これに次ぐのが20代と、若年層ほど野菜を食べる量が多い傾向がある。
アメリカでは、1990年代から国を挙げて食と健康との関わりを重要視し、食育に取り組んできた。同調査で、「1日に摂取すべき野菜の量を知っている」と回答したアメリカ人の割合が、全年代で日本人を上回っていたのも、この食育が浸透していることを裏付けている。とくに30代が79%、20代が66%と意識が高く、若いうちから野菜を食べる習慣を意識的に身につけているようだ。
一方、日本では全体的に意識は低めで、もっとも意識が高い60代でも37%、20代ではわずか23%という結果になっている。
”アメリカ人は肉ばかり食べている”は時代錯誤の認識であるようだ。
では、野菜はたくさん摂ればそれで良いのか?
前回の【5つの食品】を元にすれば、グループ①「健康に良いことが複数の研究で明らかになっている食品」である野菜に対する答えは「イエス」であるが、量だけを増やすのではなく、ポイントして抑えて欲しいことがある。
それは、”質”と”彩”である。
量不足と合わせて下記を参考にしていただきたい。
①量不足
忙しさやダイエットによる1日1〜2食の欠食。
肉のみ野菜なしの食事ではなく、1日350gという推奨量は摂りたい。
②質不足
野菜購入時、価格重視で外国産を選んでしまう。野菜の「旬」を意識しよう。
昼のコンビニ・夜の外食など、質が低い+保存料など、さまざまな化学物質を含んだ食事を摂取してしまっている。
③彩不足
野菜料理のバリエーションが少なく、いつも同じ色味の野菜を食べてしまい、バランスよく栄養補給できていない。
「日本人における野菜の摂取量ランキング」(厚生労働省,2015)を元に分類したところ、緑41%、白が39%と全体の8割を占め、黄色12%、赤6%、紫にいたってはたった2%となっている。
ただ”量を食べれば良い”のが野菜ではなく、そこに”質”と”彩”を加味して考えてみる。
1日の推奨量は350gであるが、その内訳は緑黄色野菜が120g、淡色野菜が230gとされている。カリウムの適量摂取には120g以上は緑黄色野菜の摂取が必要であることから定められた数値である。
そういったことを意識すると、病院に行ったとしても特に「病気」としての異常はない不調が、解決していく。
逆に野菜を食べないからこそ「なんとなくの不調」が訪れ、さらなる損失に繋がっていくかもしれないのである。
データの捉え方はもちろんであるが、自身の健康や栄養についての認識についても、改めて目を向ける機会にして頂きたい。
その考えが、その習慣が今の自分を作っている。
そして、これからの新たな知識と習慣が、未来の自分の健康を作っていく。
”正しい”とされる情報は多く出てくるが、その正しさだけに翻弄されずに、”自分がどう感じているか?”ということも大切にしながら今後の食事を楽しんでもらいたいと願う。
参考文献
津川 友介「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」東洋経済新報社,2018
岩崎 真宏「野菜は最強のインベストメントである」フローラル出版,2023