【MFA健康コラムVol.99】身体に”良いモノ”の根拠 その1
今や、調べれば沢山の「解」が出てくる時代。食事であっても「健康に良い」とか「体に良い」という情報を目にすることも多いだろう。
さて、それらは本当に身体に良いのだろうか?
自分で体験して良いことも、他の誰かにとっては良くないこともあり、その逆もあり得る。
何を根拠に”良いもの”なのかの基準を紹介したい。
【エビデンスのレベル】
科学的根拠のことを専門家の人は”エビデンス”と呼ぶ。このエビデンスにはレベルがあり、最も信頼のできるエビデンスのことを「エビデンスが強い」と表現し、あまり信頼できないエビデンスのことを「エビデンスが弱い」と表現する。昨今では、”エビデンスに基づく”という言い回しも多く、言葉を巧みに使った情報や商品も増えている。
そんな時に、次に挙げることを1つの判断基準として活用してはどうだろうか?
医学研究は、①ランダム化比較試験 ②観察研究の2つに分けられる。
一般的にはランダム化比較試験から得られた研究結果の方が、エビデンスのレベルが高いとされる。
また、ランダム化比較試験よりも更に強い”最強のエビデンス”が存在する。それが”メタアナリシス”という研究手法によって導き出された結果である。
メタアナリシスとは、複数の研究結果を取りまとめた研究手法のこと。
1つの研究であればその特定の国民や集団にしか認められないパターンだったかもしれない可能性は否定できない。しかし、10個も20個もの研究が、同じような食事と健康の関係を証明していれば、それはかなり信頼できるといえるだろう。
【5つの食品】
これらのエビデンスの弱いもの、そして強いものを考慮した上で、全ての食品は5つのグループに分けられる。
グループ①「健康に良いことが複数の研究で明らかになっている食品」
→魚、野菜と果物、茶色い炭水化物、オリーブオイル、ナッツ類
グループ②「ひょっとしたら健康に良いかもしれない食品。少数の研究で健康に良い可能性が示唆されている。」
→ダークチョコレート、コーヒー、納豆、ヨーグルト、酢、豆乳、お茶
グループ③「健康へのメリットもデメリットも報告されていない食品。」
→その他の多くの食品
グループ④「ひょっとしたら健康に悪いかもしれない食品。少数の研究で健康に悪い可能性が示唆されている。」
→マヨネーズ、マーガリン
グループ⑤「健康の悪いということが複数の信頼できる研究で報告されている食品。」
→赤い肉(牛肉や豚肉のこと、鶏肉は含まない)の加工肉(ハムやソーセージなど)、白い炭水化物(じゃがいもを含む)、バターなどの飽和脂肪酸
新聞やテレビなどで取り上げられる「身体に良いもの」の多くはグループ②に含まれることが多い。
健康に良いという研究が1つ2つあるかもしれないが、本当に身体に良いのかどうかまだ確定的なことは言えない段階の食品なのである。
皆さん自身が、日常的に口にするものがどのグループに属するものが多いのか、一度調べてみるのも良いかもしれない。
後半はデータを元にした野菜に対する認識についてお届けすることとする。
参考文献
津川 友介「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」東洋経済新報社,2018
岩崎 真宏「野菜は最強のインベストメントである」フローラル出版,2023