【MFA健康コラムVol.82】日常に組み込む運動習慣としてのウォーキング
2020年、緊急事態宣言による活動自粛からしばらくして、運動習慣としてウォーキングを始めた方が周りにいる。運動不足解消が主な目的だ。
お一人様時間の有効活用はもちろんのこと、それぞれの人生においての充足度を上げる上で、そして何より健康を語る上で「運動」は切っても切れない関係にあるのではないだろうか。
過去記事でも取り上げてきた運動習慣の一つとして「ウォーキング」について後述していく。
【生活様式の変化と運動不足】
人間が2本の脚で歩き出したのは、今からおよそ700万年前と言われている。
そこから現在に至るまで、生活する環境は大きく変化したものの、人が歩いて移動するいうことは今も昔も変わっていない。
皆さんはどうだろうか?
テレワーク。在宅勤務。コロナ禍より以前では考えられなかった働き方や生き方を実感することはないだろうか?
仕事に限らず、買い物もネットで注文できるし、料理であってもネットで注文したものが家に届けられることが普通となっている。
それに伴い、日常で移動する距離や活動量は低下していないだろうか?
筑波大学の研究によれば、
・通勤をしている人は、移動による運動量のほとんどを通勤によって得ている。
・コロナ禍前からテレワークをしているグループは、移動による運動量が最も少なく、運動やスポーツをする時間も短いのに加え、運動不足への危機意識も低い。長期間のテレワークにより、日常的に運動不足であるにもかかわらず、そのことへの危機意識が低下している可能性がある。
などの研究結果が出ているようだ。
コロナ禍が加速させた生活様式の変化。
今後も自ら脚を動かさなくても良い文化は生まれ、働き方においてもテレワークは無くならないだろう。
そうなれば、運動不足が慢性的に続いていく可能性は高い。しかも、テレワークについては長期化すればするほど、運動不足への危機意識が低下してくるという。
この運動不足を解消していくには、まずは日常において出来ることの習慣化から少しずつ始める。
「歩くこと」は誰でも出来るとするならば、その頻度と量を意識的に高めることを心がけてみてはどうだろうか。
【あくまで日常にプラス】
いきなりウォーキングを始めましょう、と言われて素直に、そして継続的に実施できる方は少ないだろう。
だから、その人の生活習慣に合った運動習慣を身に着けることが大切である。
スーツからジャージに着替えることが最初の一歩になるかもしれないし、家の中で、携帯や普段からよく使う物を敢えて別々の場所に置いておくのも良いかもしれない。それだけでも立派な運動量の増加になるわけだ。
まずは、日常において自身の行動範囲などを分析してみてはいかがだろうか。
運動量の増加が習慣化されてきた後に、「○○歩は歩きましょう」「○○分以上は歩きましょう」という具体的な数字を意識しても良いかもしれない。
コロナの5類への変更に伴い、外出への抵抗が減ってきた方もいるだろう。
ウォーキングを行うことや活動量を上げることを目的にせず、外出する予定を立てることで結果的に1日の歩数や活動量を上げていくことも有効だ。
誰かに会いに行く、行きたかったカフェに行くなど、何か別の目的を達成するために、移動するという行為を組み込んでいくスタイルである。
【最初からフォームを意識しない】
ウォーキングの正しいフォームをご存知だろうか?
ほとんどの方が、腕を軽く曲げ縦に大きく振り、脚は大股で踵から地面に着地して・・・というイメージをされるのではないだろうか?
これらのフォームはどれも正しい。
しかし、その正しいフォームに囚われっぱなしだと、話は違ってくる。
例えば踵からの着地も、過度に意識した場合は足首の怪我や痛みを発生させる可能性がある。腕も大きく振ることを意識しすぎると、体幹部の安定性に欠け、背中や腰の痛みに繋がりかねない。
まずは、自身のいつも通りの歩き方で始めることである。そのフォームが、自身の適切で安全なフォームというわけだ。
そこから少しスピードを上げてみれば分かるが、自然と大股になり、腕も大きく振らなければスピードも上がらないのだ。
フォームというカタチも大切であるが、スピードを少し上げることを意識すれば自然とフォームは変わってくるのである。
【せめて靴は選びたい】
ウォーキングを始めるにあたり、せめてシューズだけでも揃えたい。そんな方はスポーツショップに行くと良いだろう。
しかし、巷にあるウォーキングシューズというものは品数が少ないのが現状だ。
そこで解決策になるのが初心者用のランニングシューズ。これであれば品数も豊富である。
必ず一回は履き、その場で屈伸や足上げなどを行い、履き心地だけでなく「動きやすさ」も指標にすると良いだろう。
また、ある程度の負荷を上げていきたい方は、心拍計も購入すると良いかもしれない。
運動強度が適切かどうか、または負荷がかかりすぎていないかを心拍数でモニターできる。同時にGPS機能が付いていれば、歩いた距離まで算出することができる物もある。
これから梅雨の時期になれば、更に活動量が低下する方もいるだろう。
雨の日は別であるが、晴れ間を見てウォーキングを実施することで、少しでも自身の活動量を上げてみてはいかがだろうか?
少しずつの変化が、毎日の習慣に繋がり、そして健康的な体が出来上がる。
この記事をきっかけとして、少しでも実施してくださる方がいることを願う。
メディカル・フィットネス協会,「ウォーキングトレーナー養成講習会テキスト」
中野ジェームズ修一,「定年後から始めて一生歩ける!最大効果のウォーキング」, CCCメディアハウス