【MFA健康コラムVol.60】歩くことの前に知っておきたいこと その1
梅雨時期になり、ジメジメとした嫌な汗をかくようになってきた。
この時期は、東洋医学でいうところの「湿(しつ)」が溜まりやすい時期でもある。この湿が溜まった状態で夏を迎えると、胃腸の状態が悪くなり、夏バテの一つの要因になりかねない。
そうならないための準備として、この梅雨時期の天気の崩れていないタイミングで、ウォーキングなどの汗をかくような運動を実践しておきたいものである。
さて、前回は「なぜ、歩くのか?」を目的別に紹介した。今回は、ウォーキングを行う前に知っておく方が良いことをいくつか紹介したい。
【真っ直ぐ立てているだろうか??】
歩くという動作の方法はいくらでも調べれば出てくる時代。
歩き方に意識を置いて「一生懸命に大股で」歩くことが全て正しいわけではない。
まずは、歩くことの前提を考えてみたい。
歩くという動作は、そもそも、直立状態(真っ直ぐ立っている)からの派生である。
この、「真っ直ぐ立っている」が不完全な状態で歩行動作を行った場合、果たして効率よくウォーキングの恩恵を受けることができるのだろうか。
”立つ”ということにフォーカスして、幾つかの姿勢チェックを行ってみよう。
自分が思う「真っ直ぐ立っている」状態で、
●猫背になっている
●反り腰になっている
●重心が踵に過度に寄っている
●膝がグラグラする
上記の状態が該当する方は、専門のトレーナーや整体師にアドバイスを求めたり、ウォーキングを行う前に身体作りを意識すると良いだろう。
簡単な指標としては、真っ直ぐ立っている状態で、耳の後ろから真っ直ぐ下ろした線が、足のくるぶしの後ろを通っていれば良しとされる。
先にチェックした4項目も参考にして、自分自身の「真っ直ぐ立つ」感覚に意識を向けて確認して欲しい。
真っ直ぐ立てているからこそ、そこから始まる歩行動作で効率よくウォーキングの恩恵を受けることができる。その根本である「真っ直ぐ立つ」をまずは意識してみると良いだろう。
【痛みを改善するために、正しく歩く】
ジョギングやマラソンはなかなか長続きしないことが多い。
疲労度も伴う上に、膝や足首などの怪我を起こす可能性があることもその一つの理由であろう。
また、走ることの目的は、健康になりたいというよりも「食べ過ぎて増えた体重のコントロール」であることが多いかもしれない。しかし、走ることで消費されるカロリーを考えれば、そもそも摂取カロリーを見直した方が良い例もある。
怪我の回復過程で考えてみると、歩くことは走ることよりも取り入れることが容易で効果的である。
なかなか治らない慢性的な関節の違和感や痛みなどがあるとする。
その場合、痛みをかばうことを最優先し、運動や活動を制限することを選択することもあるのではないだろうか。そして、”歩くこと”でさえ制限をかける、という悪循環となる。
その結果、”歩くこと”自体の機能低下が、身体全体の機能低下に繋がっているとすれば、どうだろう?異常がない部位の筋肉などの機能を低下させ、それによって痛みや違和感のある部位へより負担をかけているとするならば、全身運動の一つである”歩くこと”は、十分なリハビリになり得るわけだ。
日常生活動作の一つである”歩くこと”を正しく行うことで、まずは基礎体力を回復させる。そこから能動的に運動量を上げていき、スピードや時間で負荷を上げ、走る動作までを獲得してみる。その過程で自然と痛みや違和感は消失し、自由に快適に日常を暮らすことができるかもしれない。
人の機能は動ける体としてプログラム化されている。
その機能の向上を目的として正しく歩くことを目指すと、現状の不調や痛み・違和感は自然となくなることも考えられるわけだ。
まずは「真っ直ぐ立つ」こと。そこから”歩くことを”正しく行っていくことで、様々なウォーキングの恩恵を受けることができるであろう。
次回は「腕を振ることの意味」と「靴選びのポイント」について紹介する。
参考文献
「正しく歩いて、不調を治す。」田中 尚喜
「最大効果のウォーキング」中野ジェームズ修一
「腕の振りが歩行に及ぼす影響」安藤正志