【MFA健康コラムVol.50】運動の世界基準と今日からの取り組み その2
年末も差し迫り、2021年の締めくくりに忙しい方々も多いのではないだろうか。
前回は運動の世界基準についてお話をした。
今回はこの忙しい時期にも最適な、身体活動量を増やす方法としての「呼吸」について、お話をする。
【呼吸というエクササイズ】
運動と言われても、すぐに出来ないし、つらいことは嫌である。そんな方もいらっしゃるのではないだろうか?
そんな方は、日常の中でできる「呼吸」に着目していただきたい。
人は24時間に2万回以上の呼吸をしていると言われている。常に自分と隣り合わせでリズムを刻んでいる呼吸。その呼吸を少し意識することが、まだ見ぬ自分と出会う最短ルートだとしたら、取り組む価値もあるであろう。
【呼吸チェック】
まずは自分の呼吸が現在どんな状態なのかをチェックしてみよう。
1つ目は自覚症状のチェック。
・呼吸が苦しいことがある、すぐ呼吸が乱れる
・口が開いていることが多く、口呼吸をしている
・手足が冷たい、またはしびれることがある
・疲れが溜まりやすいと感じる
・集中力がないと感じる
これらはいずれも呼吸機能の低下と非常に関連のある項目である。
どれか一つでも「YES」があった場合、呼吸を改善する必要があるとされている。
次に呼吸量のチェック。
通常の呼吸で吐いた状態で鼻をつまんで、「息を吸いたい」と感じるまでの時間を測る。
決して限界まで止めるのではなく、「吸いたい」と感じるまでの時間に留める。
唾を飲み込みたくなったり、首や胸周辺の筋肉が自分の意思とは関係なしに収縮する直前までの時間を測る。
・10秒未満→呼吸量が非常に多く、適切な酸素供給ができていない可能性が高い。
・10秒から20秒未満→呼吸量が多く、運動したり精神的ストレスをかけると息切れ、喘息、疲労が見られる可能性がある。
・20秒から40秒未満→呼吸量の問題はほとんどないが、まだ理想的な酸素供給とは言えない状態。
・40秒以上の場合→理想的な呼吸量である。脳と体に適切な酸素供給ができていて、呼吸も楽に行える。脳や体の各機能が活発に働くことで、頭は冴えて体は軽くなり、免疫力やストレスも耐性も高い状態にあると考えられる。
上記のチェックは一部であり、それ以外の専門的な評価やチェックがあることもご理解いただきたい。
【とにかく口より鼻】
酸素という言葉を聞けば、とりあえず「大きな口を開けて深呼吸」をすれば良いと思われる方もいるのではないだろうか?
結論から言うと、「口呼吸は百害あって一利なし」と解釈いただいても良いだろう。
強度の高い運動時などは別であるが、基本的に、口より鼻を使っての呼吸の方が身体への利益が大きくなる。
まずは、自分自身で日々の呼吸を意識してもらいたい。
口ではなく鼻で。これだけでもまずは、やってみよう。
次回は更に呼吸について掘り下げていくとする。
年末で体調も崩しやすい季節となってくるが、念には念を入れて、良い状態で年越しを迎えて頂きたい。
とにかく呼吸。口ではなく鼻呼吸で。
参考文献
「新しい呼吸の教科書」 森本 貴義 / 近藤 拓人