健康ケアトレーナー、介護予防運動トレーナー、ウォーキングトレーナー、スチューデントトレーナーの資格取得。一般社団法人メディカル・フィットネス協会

メディカルチェックによる健康管理と、医学とスポーツ科学を統合した資格取得を目指せます。
MENU

【MFA健康コラムVol.59】「なぜ歩くのか」を考える その2

TOP > 【MFA健康コラムVol.59】「なぜ歩くのか」を考える その2

MFAオフィシャル健康コラム

【MFA健康コラムVol.59】「なぜ歩くのか」を考える その2

日が長くなり、朝夕ますますウォーキングがしやすい季節になった。

「しようしよう」と思っていた運動をするならば、日常に取り入れやすく習慣化しやすいウォーキングは最適な種目ではなかろうか。

 

次回は「目的」にあわせて、ウォーキングの「手段」をどう選ぶかについて、話をしたいと思う。

 

 

 

【目的によって時間帯を変えてみる】

 

ウォーキングの運動強度を高めることによって身体能力は鍛えられ、一生歩ける体に近づく。それと同時に強調しておきたいことが「何を目的とするか」によってウォーキングをやるべきタイミングが変わってくるということである。

 

例えば、健康診断などで糖尿病予備軍と診断され、医師からウォーキングをすすめられたとする。

膵臓から分泌されるインスリンの働きにより、糖を細胞に取り込み、エネルギーとして再吸収する仕組みが体にはある。しかし、長期にわたりインスリンを働かせすぎるなどして、その分泌量が減少したり働きが悪くなったりすると、血液中の糖を十分に再吸収できなくなってくる。その結果、慢性的に血糖値が高い状態になるのが糖尿病である。

 

では、予防として出来ることは何があるのか?

 

食事で摂った糖を筋肉で使ってエネルギーに変え、血糖値が高い状態をできるだけ短くすれば良いわけである。糖=エネルギーであり、筋肉は最もエネルギーを使う器官なのだ。

血糖値のピークは食後30分〜1時間前後なので、その時間にウォーキングをする。3食のたびに実施するのが理想であるが、まずは1日1回だけでも、食後に10〜20分ほど歩くように心がけでみると良いだろう。

中年期に運動と食事を改善すると人生後半は健康に 肥満・メタボ ...

 

 

一方、すでについてしまっている脂肪を落としたいという目的があれば、ウォーキングは食前が効果的である。

血液中の糖質が減っている空腹時にウォーキングなどの運動を行うことで、脂肪を分解してエネルギーを生み出すことになるからだ。

反対に食後に運動をすると、摂ったばかりの糖質から優先してエネルギーとして使っていくので、脂肪燃焼に繋がりにくくなるのである。

 

目的がはっきりしていれば、それに合ったタイミングを設定しやすくなる。

ただ闇雲に歩くのではなく、それに沿った手段を選ぶことで、求める効果を感じやすくなるだろう。

 

 

 

【歩くことで鍛える脳】

 

いつも疲れている。日中にもかかわらず眠くなる。やる気が出ない。。。。。

 

これらの不調は脳から送られてくるトラブルのサインの可能性がある。

 

多くの方は普段、自分の脳を意識しながら生活をしていないであろう。そのため、不調のサインがあっても「原因が脳にある」とは思わない。

脳は他の臓器に比べて痛くなったりせず、トラブルがあっても自覚しづらいので、私たちの脳が不調を起こしていることに気付きにくいのである。

慢性的な疲れ、睡魔、モチベーションの低下などが現れた時はまず「自分の脳が不調を起こしているかも」と疑ってみることも大切ということだ。

 

ウォーキングは、この脳の不調を解消することができる。

それはなぜなのだろうか?

 

人間の脳は場所や役割によって8つの系統に分けることができる。それら部位の不調がその時々の症状として現れるのである。

物忘れが多ければ記憶系の部位に問題があり、怒りを抑えられない時は感情系の部位に問題があるといったような流れだ。

その中においても各それぞれの8部位と密接な関係を持ち、影響を与える重要な脳の部位が運動系脳番地=運動脳である。

 

ウォーキングはこの運動脳にスイッチを入れ、脳全体を鍛えることができる最も簡単かつ、効果的な方法なのである。

 

 

不調を訴える患者さんを検査しても、異常がなく病気が見つからないということがある。

この状態を「不定愁訴(ふていしゅうそ)」と呼ぶ。

 

この不定愁訴に大きく関わるのが、運動不足の積み重ねによる「運動負債」である。

ウォーキングなどの運動を実施する機会や時間が減ってくると、運動脳を使うことが減り続け、運動脳以外の脳の不調が起こってくるのである。

風邪をひいて数日寝込んだことにより一気に認知機能の低下をきたしてしまうご老人の方などがいるが、その原因はまさに運動負債が一つとして考えられるのである。

また、このコロナ禍によるマスク生活の常態化により、脳が酸欠状態になり、目覚め(覚醒)にくくなると、動くことが億劫になり、その結果が運動負債につながり、不定愁訴を引き起こすケースもあると考えられている。

 

ウォーキングなど体を動かすことが脳にとってプラスとなり、原因の分からない症状の改善に繋がるかもしれないのである。

散歩」と「ウォーキング」の違いとは?わかりやすく解説 – スッキリ

 

 

これから温かくなり、ますます動くだけで気持ちの良い汗をかくことが出来る時期となってくる。

ウォーキング(運動)を始める理由は人それぞれであって良い。

実施方法についてはまた次回以降にまとめて投稿するとして、ぜひ、その目的に目を向けて、ご自身の取り組む手段を最適化してみてはいかがだろうか。

 

 

参考文献

「正しく歩いて、不調を治す。」田中 尚喜

「最大効果のウォーキング」中野ジェームズ修一

「ウォーキング脳」加藤 俊徳

【Vol.44】「食べ過ぎない」ということ その2

【Vol.45】第2弾「食べ過ぎない」ということ その1

【Vol.46】第2弾「食べ過ぎない」ということ その2 

【Vol.47】脳とアイデア創出の関係 その1

【Vol.48】脳とアイデア創出の関係 その2 

【Vol.49】運動の世界基準と今日からの取り組み その1

【Vol.50】運動の世界基準と今日からの取り組み その2

【Vol.51】呼吸から介入する運動習慣 その1

【Vol.52】呼吸から介入する運動習慣 その2

【Vol.53】「冷え」に関する知見を広げる その1

【Vol.54】「冷え」に関する知見を広げる その2

【Vol.55】胃腸から整える その1

【Vol.56】胃腸から整える その2

【Vol.57】目標達成のための思考法

【Vol.58】「なぜ歩くのか」を考える その1

 

一覧TOP

カテゴリー

アーカイブ

最新のお知らせ

2024.11.15
【MFA健康コラムVol.115】冷えか…
2024.11.05
!NEW!【2024年度】各講習会・セミ…
2024.11.01
【MFA健康コラムVol.114】冷えか…
2024.10.18
【MFA健康コラムVol.113】集中力…