【MFA健康コラムVol.115】冷えから身体を守る その2
11月も半ばになった。
前回に引き続き、11月の養生法として、冬に気を付けたいこと、その後、立冬と小雪に分けて解説することとする。
【冬】
寒い冬には冷え性になる人も多いだろう。東洋医学的には冷え性は生命力の弱りのサインともいえる。
ただ、この冷え性をネガティブに捉えすぎるのもよくない。冷えは、体温を逃さないように、生命力を傷つけないように、熱を体の末端から中心に集める防御システムが働いているサインでもあるのだ。
冷えを感じたら、自分の体を自分自身で守っているんだ、と認めてあげて、少しでも体の負担を軽くするようにすることが大切である。
古書「皇帝内径」には冬の過ごし方が次のように書かれている。
去寒就温 寒さを避けて暖かくしなさい
無泄皮膚 汗をたくさんかかないように気をつけて
使氣亟奪 陽気を奪われないようにしなさい
具体的には、とにかく”温める”こと。温めることで生命力の貯金になるのだ。
まずは、太い血管が外気にふれる「首」を温める。つまり、頭を支えている首、そして手首、足首を露出しないことである。マフラーやレッグウォーマーなどを活用して温めることで、体温低下を防ぎ、温かい血液を手足の先まで届けることが可能となってくる。
また腰の冷えは生命力とも関係があるので、カイロを使う、または腹巻きなどを活用することもおすすめである。
【立冬】
秋の気配が深まると同時に、少しずつ冬の足音が聞こえてくる時期。ちょうどこの時期に吹く「木枯らし」を感じながら、しっかりと養生したいものである。
この時期は、外気が乾燥する秋と寒さが厳しくなる冬の両方の影響が重なるため、特に肌への影響に注意したい季節。
【小雪】
地域によっては雪が降りはじめる季節。とはいえ雪も寒さもそれほどではないことから「小雪」と名づけられたと言われる。
段々と陰の力が増して、陽が弱まってくる。陽が強かった夏は活発度が高くても、陰が強くなる冬は活発度が下がることになる。
健康のためには早寝早起が良いと一般的には言われているが、東洋医学的な観点で考えると、早く寝て遅く起きるのが得策。しっかりと身体を休める睡眠時間を確保したいものである。
季節を追うごとに四季は移ろい、変化していく。
これに合わせるようにして人間もリズムを合わせていくと”何となく調子が良い”と、昔の人は経験として学んでいったのだろう。
社会が変わり科学も加速度的に発達する中において、人はいかにしてその変化に適応していくか、に四苦八苦する昨今であるが、”季節の変化に合わせる”ことで身体も心も整えておくことが、何よりも優先度の高いことなのかもしれない。
参考文献
堀江 昭佳「血流がすべて整う暮らし方」サンマーク出版,2019
川嶋 朗「心もからだも「冷え」が万病のもと」集英社,2007