【MFA健康コラムVol.113】集中力を”具体化”する② その2
前回はドーパミン、βエンドルフィンの分泌を促す方法についてお話した。
今回は、ノルアドレナリンの分泌を促す方法について、お話をする。
【ノルアドレナリンの分泌を促すテクニック】
ノルアドレナリンはストレスを感じている時に分泌されやすく、適度な量のノルアドレナリンは集中力を高める効果がある。しかし、過剰に分泌されると、それに相まって合成されやすいストレスホルモンであるコルチゾールの作用によって前頭前皮質の機能が低下し、集中力が極端に落ちることに繋がってくる。
短期であるならば、過剰ではない範囲のノルアドレナリン性の集中は、我々のパフォーマンスを高めてくれると言えるだろう。
ノルアドレナリンによる集中の高まりは独特で、いろいろなものへの集中度合いを一気に高める。
これは一見、素晴らしいようであるが、やるべきこととは関係ないノイズに対しても敏感になってしまうのだ。
「ここを乗り切らなければならない」という山場のタスクがある場合、できるだけノイズが少なく集中できる環境で作業を行う方が適しているかもしれない。人が多いカフェや、通りに面しているお店などでの作業は、ノルアドレナリンの作用によりノイズに敏感になっていく可能性がある。
ノルアドレナリン型の集中はストレスホルモンも分泌しそもそも長く続かないので、それ単体で考えることなく、集中状態をキープするにはその他のβエンドルフィンやドーパミンの分泌を促しておくことも大切になってくる。
上記にプラスして、集中状態のキーとなるものに「心理的安全性」が保たれているか?が挙げられる。
不安や恐れを感じることなく、あるいは不安や恐れを感じたとしても支配されることなく、脳が安心して思考し、自分が発言し行動できる環境にいること。対人関係はもちろんであるが、自分自身で、自分の心が休まる行いや環境などに目を向けてみるのも良いかもしれない。無意識に行っている呼吸一つとっても、意識を向けることで自律神経の働きから心理的安全性に大きな影響を与えることになるのだ。
”集中力がない”を今や科学で説明でき、かつ解決の糸口が見つかるかもしれない時代を私たちは生きている。
ただ、いくら科学が発達しても”自分が何を感じるか?”は自分にしか分からない感覚。
外の世界ではSNSなどを通じて沢山の情報が錯綜するが、自分の中、脳の中に目を向ける時間もぜひ大切にして欲しい。
自分に向ける意識により、集中力だけに限らず、心地よく、幸せになれるヒントは自分にあることに気付けるかもしれない。
参考文献
青砥 瑞人「4 Focus 脳が冴えわたる4つの集中」KADOKAWA,2021