【MFA健康コラムVol.91】体調の整え方 その2
体調が悪いからサウナに行く。寝る。
もちろんそれらは大切であるが、もしその原因が腸であるとすればどうだろうか。
2016年、コーネル大学の研究チームが「慢性疲労症候群」に悩む患者の腸内細菌を調べる研究を行った。
慢性疲労症候群は日常的な家事などでも精神と体力を消耗し、一晩寝ても疲れは取れず、人によっては激しい頭痛や記憶力の低下などが起きるケースがある。
研究結果によると、慢性疲労と腸内細菌の関係を強く示すこととなったようである。
慢性疲労症候群の患者は健康な人に比べて腸内細菌の種類が少なかった上、疲れやすい人ほど体内の炎症レベルが高く、リッキーガット(腸の壁に穴があく)の割合も多かったのだ。
積極的に疲れをとっている努力も、食事の改善や見直しが必要なケースがあるわけだ。
【正しく動いているか】
健康のために、ランニングをする。そのランニングをするのは体である。
では、その体は正常に動いているだろうか?
例えば、腕を上げて万歳動作をする時に明らかに左右差があったとする。
その人がランニングをするとなった時に左右が同じバランスで腕を振ることが出来るだろうか?また、膝の関節が片脚だけ伸び切らない人がランニングをした場合、その膝を庇うことで足首や股関節、反対の脚への負担が大きくなることは想像できるだろう。
どのような体で動くのかは、その後のどんな運動を行うのか以前に大切なことなのである。
また、運動の効果は座りっぱなしで帳消しになることも理解したい。
動きの世界のリーダーであるB・Jベイカーは、1日に6〜8時間座ったら、1〜2時間のワークアウトが帳消しになると述べている。
このことについての対策はシンプル。
長時間の座りっぱなしをやめ、意識的に立ち上がる頻度を増やすことである。
【マッサージより優れていること】
2016年、ダービー大学が行ったメタ分析では「自然とのふれ合いはどれだけ体に良いのか?」という内容であった。
その結論は、「自然とのふれ合いにより、確実に人体の副交感神経は活性化する」ということが分かったのである。つまり、自然は人体の疲労を回復する働きを持つわけだ。
これは何も難しい理解が必要でもないし、想像に値することだろう。
大切なことは、このデータでの効果量である。
一般的に効果量が「0.5」を超えると効果大と判断されるわけであるが、自然の癒し効果はその数字が「0.71」という成績を出している。これは、自律訓練やマッサージのような定番のリラクゼーション法の「0.57」を超える成績となっている。
もちろん、単純な比較は危険であるが、それだけ自然の癒しが体のダメージを癒す効果があることだけでもご理解いただきたいところである。
上記を参考に、ご自身に合う何かしらの実践をしてみてはどうだろうか。
一つだけ大切なことを述べるとすれば、体の状態の「良し悪し」を普段からモニターしておくことである。
調子が良い、悪いに関わらず「今日の体調はどうか?」を自身に問いかけることからまずはスタートさせてみるだけでも、大きな一歩になるかもしれない。
参考文献
鈴木 佑,「最高の体調」,クロスメディア・パブリッシング,2018
デイヴ・アスプリー,「シリコンバレー式 超ライフハック」,ダイヤモンド社,2020
【vol.83】ウォーキングを指導する上でのポイント その1