【MFA健康コラムVol.85】風邪の予防法は”健康”になること その1
巷では「夏風邪」が流行っている。
どの時期にも流行はあって、そのウイルスに対してほとんどの人が免疫を持つとまた次のウイルスがやってくる。ウイルスとの共存を考えた時に、「風邪をひかないようにする」ためには、どんなことが出来るだろうか?
症状や罹患する人・予防する人にとっても欲しい情報は違うであろうが、一つの意見として取り込んでくれると幸いである。
【ひかない為にできること】
風邪をひくと「ドキっ!」っとする。
コロナも5類移行に伴い待機期間の短縮などもあったが、やはり、発熱し体調を崩すと不安な方が多いのではないだろうか。恐る恐る病院を受診するも「風邪ですね。」の言葉に安心し療養がスタートしていく。
しかしである。
そんな不安を解消する一手は、そもそも風邪をひかなければ良いのだ。
クラスや職場、自分以外の不特定多数の人がいるコミュニティにおいて流行性の疾病が蔓延したとしても、そもそも発症しない人が幾人か存在するはずだ。
ウイルスを取り込むことは一緒なのに、発症する人と発症しない人の違いは何なのだろうか?どんな予防法があるのか?掘り下げてみたいと思う。
【200種類もある風邪を引き起こすウイルス】
「かぜの科学〜もっとも身近な病の生態」という本がある。
その本によると、米国では年間のべ10億回風邪にかかり、外来受診だけで1億人にも達するとのこと。結果として、患者たちは何十億ドルも治療に費やしており、欠勤による経済損失は600億ドルになるそうだ。
これだけの損失があるにも関わらず、風邪についての研究はあまり進んでいない。
大きな理由は、放っておいても数日たてば治るということ、そして原因ウイルスがたくさんあるので研究が難しいということである。広辞苑によると、およそ200種類以上のウイルスが風邪を引き起こすと考えられているのだ。
200種類もあるウイルスのうちどれかに感染して風邪をひくと、そのウイルスに対して免疫ができる。
しかし、原因ウイルスは200種類以上もあるので、ひいてもひいても、別の種類のウイルスによる風邪をひくのである。
しかし、少し意外かもしれないが、統計的には歳を取ればとるほど、風邪にかかりにくくなることが分かっている。これは、色々な種類のウイルスの風邪に罹って、それらのウイルスに免疫ができていくためと考えられている。
【侮れない”手洗い”の効果】
では、風邪をどのように予防していけば良いのだろうか?
風邪の感染経路は飛沫によるものと考えられがちであるが、実はそのほとんどは「接触感染」によるもの。まずは第一に手洗いの実施が簡潔な方法となってくる。
屋外で多くの人が触れるドアノブに触れないこと、家族内に感染者がいる場合は、家族が多く使用する玄関やトイレのドアノブなどを清潔にしておくことも効果があるかもしれない。
万が一、それらに触れてしまった場合は、速やかに手洗いを実施する。
手洗いを通してそもそも体内にウイルスを入れないことが、風邪をひかない為に誰でも出来る方法となってくるのだ。
コロナの流行で、手洗いが習慣化された方も多いのではないだろうか。
それも一助になり、インフルエンザの流行が例年より抑えられていたという話も聞かれる。
良い習慣は、引き続き継続していきたいものである。
次回は、風邪を予防するための栄養素と、体内にウイルスを入れないための呼吸について、話をする。
参考文献
仲野徹,「(あまり)病気をしない暮らし」,晶文社,2018
堀田修,「自律神経を整えたいなら上咽頭を鍛えなさい」,世界文化社,2020
梅岡比俊,「臨床経験豊富な100人の専門医が教える!健康医学」,フローラル出版,2021