【MFA健康コラムVol.49】運動の世界基準と今日からの取り組み その1
年末に近づくにつれて、忙しさが増してくる方も多いのではないだろうか。
年末、そして年始とイベントも多い中、万全の状態で過ごすために是非「運動」を実践してみてはどうだろうか?身体だけでなく心にも影響を及ぼす運動の効果を理解して、今日からの少しの取り組みに繋げていただけると幸いである。
まずは今回は運動の世界基準についてお話をする。
【世界の現状】
世界行動計画によれば、世界中の成人のうち28%(約14億人)は、一般的な慢性疾患から身を守るため、または肉体的・精神的・社会的健康・ウェルビーイングを高めるために必要十分な身体活動を行っていない、と報告されている。
また、経済的発展は身体不活動レベルを増加させることに関連する、という驚きの報告もされている。
不十分な身体活動レベルは、低所得国と比べて高所得国では2倍以上も高く、高所得国における身体不活動は2001〜2006年の間に5%も増加している。
男女の身体不活動レベルは、ラテンアメリカとカリブ、および高所得国の西欧諸国で最高となり、東アジアとオセアニアで最低だと報告されている。また東アジアおよび東南アジアを除く全ての小地域にわたり、女性は男性(23%)と比べて世界的に不活動となっている(32%)。
【どのくらいの身体活動が必要なのか?】
WHOの身体活動に関する勧告(2010) によれば、成人においては、中強度の運動を週に150分、または高強度の運動を75分実施することを推奨している。高強度の運動は多ければ多いほどよく、さらに健康上の利益を与えるとされている。また年齢に関係なく、全ての人にとって、大筋群の筋力強化の活動を週に2日以上行こなうことも推奨されている。
これらの推奨値をクリアして身体不活動から脱却する為に、WHOは世界全体の身体不活動者数を、現状の28%から2025年までに10%減少を、そして2030年までに15%減少を目標としている。
エネルギー消費の増加をもたらす骨格筋による、あらゆる形態の身体運動を『身体活動』としているわけだが、それらは具体的に次のようなものが挙げられる。例えば、ウォーキング、ランニング、ダンス、水泳、ヨガ、ガーデニングなどだ。
これらの身体活動は、健康面や社会および経済に倍数的なベネフィットをもたらすとされている。
そして、身体活動を増やすための政策措置への投資は、持続可能な開発目標(SDGs)の達成の助けとなる。
身体活動を促進する政策は、様々な直接的および間接的な手段によって、13のSDGsを支援することとなる。
支援される13のSDGsは次のものである。
SDG3=全ての人に健康と福祉を
SDG2=飢餓をゼロに
SDG4=質の高い教育をみんなに
SDG5=ジェンダー平等を実現しよう
SDG8=働きがいも経済成長も
SDG9=産業と技術革新の基盤を作ろう
SDG10=人や国の不平等をなくそう
SDG11=住み続けられるまちづくりを
SDG12=つくる責任つかう責任
SDG13=気候変動に具体的な対策を
SDG15=陸の豊かさを守ろう
SDG16=平和と公正を全ての人に
SDG17=パートナーシップで目標を達成しよう
身体活動を増やすことが、自身の健康にもSDGsの達成にも繋がる。
だが、いきなり身体活動量を増やすのは難しいと考える方も多いことだろう。
身体活動量を増やすよう指導することに、難しさを感じている方もいることだろう。
そんな方でも、絶対することに「呼吸」がある。
次回は呼吸をエクササイズと捉え、どのように意識すればよいかについて、お話をしたいと思う。
参考文献
WHO 「身体活動に関する世界行動計画2018-2030」