【MFA健康コラムVol.48】脳とアイデア創出の関係 その2
前回は脳とクリエイティビティの関係について述べた。
今回はアイデア創出の方法について述べる。
【脳の本能を理解して思考する】
脳神経細胞には3つの本能があるとされている。それは「生存本能、共存本能、学習意欲」である。
その中でも、思考や記憶に大きく関わるのが、知りたいという本能である学習意欲である。これは脳の原点とも言えるものである。
生まれたばかりの赤ちゃんの脳が、情報の伝達路を形成するキッカケとなるのも、お母さんへの「興味」。つまり、人間にとっては「興味を持つこと」こそが、全ての始まりなのである。
何か新しいものを生み出したい時、アイデアを出したい時は、まずその取り組み自体に「興味を持つ」ことで脳の力を最大限に引き出すことが可能になるかもしれない。決して「興味がない」と思ったり、口にしたりしないことである。
また複数人でブレインストーミングによりアイデアを出し合う場合、他者のアイデアや意見などに、素直に「すごい!」と反応することも大切になってくる。素直に「すごい!」と感動することは、脳にとって判断力と理解力が高まることに繋がる。
お互いに心地よい反応と感動をし合うことによって、雰囲気のよいアイデア創出環境を作ることを意識し工夫してみるのも良いかもしれない。
【ひらめきを得るのは】
では具体的にひらめきとはどのように突出してくるのだろうか。
ひらめきを得る方法を知っていると、極端な話、人生が変わるかもしれない。そんな方法が分かれば・・・。という方に朗報。最近の脳科学ではひらめきを得る方法を明らかにしているのだ。
「NHKスペシャル「人体」”脳”がすごいぞ!ひらめきと記憶の正体」において、ひらめいた時の脳の状態は「ぼーっとしている」ときの状態とほぼ同じであったのだ。
しかし、ぼーっとしていると言っても、脳は活動を停止しているわけでもなく、脳の広い領域で一斉に活動している様子が記録されていたのである。
「創造性の4B」というものがある。4つの頭文字のBをとっており、Bathroom(入浴中、トイレ)、 Bus(バス、移動中)、Bed(寝ている時、寝る前、起きた時)、Bar(お酒を飲んでリラックスしている時)がそれである。
著書「スウェーデン式アイデア・ブック」において、これら4つの行いや場所においてアイデアが生まれやすいとされている。
ひらめくためには、がむしゃらに脳を働かせるイメージがあるが、実はリラックスした時間、ぼーっとした時間を持つことが意外にも重要なのである。
【ひらめきを得るプロセス】
しかし、ただ単にお風呂に入って3時間ぼーっとしているだけで、最高のアイデアがひらめくだろうか。
おそらくそれは無理な話であろう。
何事も準備が必要であるわけで、そのステップを踏むことがひらめくために大切になってくるのである。
政治学者のウィリアム・ウォーラスが提唱する「問題解決の4つのプロセス」がそのまま「ひらめきを得る」プロセスとして活用できる。
①第一段階「準備」
たくさんの資料や本を読む。ノートやカードに何かを書き出してみる。ブレインストーミングをする。
今直面している問題や課題と徹底的に格闘することが必要となる。
②第二段階「孵化(インキュベーション)」
徹底的に問題と格闘したら、その問題をしばらく放置してみる。
数時間かもしれないし、数日かもしれない。
この期間において重要なのが、前述した「創造性の4B」である。
リラックスした時間を持つことで、脳の中で無意識のうちに情報の再編、情報の関連付けが行われる。
③アハ!体験
ひらめきが起こる。
④検証
ひらめきが本当に正しいのか、理論的、実践的に「検証」を行う。
問題と徹底的に向き合った後は、くるべき時をぼーっと待つ。
これがひらめきを生むプロセスとなるのである。
年を越す前にこの有事の収束を願うと共に、自身でできる来年への準備を進めたいものである。
その準備の為のアイデア創出に、今回の記事が役に立つようなことになれば幸いである。
寒暖差もあり体調を崩しやすい季節であるが、万全の状態で冬に備えていただきたい。
参考文献
「BRAIN DRIVEN」青砥 瑞人
「脳に悪い7つの習慣」 林 成之
「アウトプット大全」 樺沢 紫苑