【MFA健康コラムVol.45】第2弾「食べ過ぎない」ということ その1
朝夕は時折寒さを感じるこの季節、体調を崩しやすい温度差となっている。
夏に比べて過ごしやすいこの秋の時期に免疫力を強化し、風邪の流行る冬に備えておきたいものである。
今回は前回に続き、「食事」にフォーカスを当てていく。
沢山の食事方法がある中で「食べることを抑える」「頻度を少なく」「量を少なく」ということをテーマに掘り下げる。
食事は人の日常に入りこんでいる。その日常である食事を整え見直すことが、身体の健全のきっかけに繋がれば幸いである。
【ブルーゾーンに学ぶ】
「ブルーゾーン」という言葉を聞いたことはあるだろうか?
ブルーゾーンとは、世界的にみても健康で長生きの人々が多く居住する特別な地域を指す。
イタリア・サルディーニ島、アメリカ・カリフォルニアのロマリンダ、コスタリカのニコヤ半島、ギリシャのイカリヤ島、そして沖縄県がこれに該当する。
これらのブルーゾーンと言われる地域には、90歳以上の方やセンテナリアンと呼ばれる100歳を超える方はもちろんのこと、110歳を超えるスーパーセンテナリアンが多数暮らしている。
100歳を超えるセンテナリアンには比較的「寝たきり」の人が少なく、最後まで元気な人の割合が高いと言われている。サルディーニャ島の住民が100歳まで生きる確率は世界の他の地域の10倍以上であり、ロマリンダは全米の平均寿命よりも10歳以上長生きするようだ。ちなみに沖縄は世界の中で最も長寿の女性たちが暮らしていることで有名である。
では、このブルーゾーンに住む長寿の人々に共通することは何なのか。
世界で最も健康で長生きする人々の生活習慣『ブルーゾーンパワー』と呼ばれているものが、それである。
以下をみていただきたい。
①体を日頃から動かすこと
②生きがいを持ち続けること
③ストレスを避けること
④腹八分目の食事習慣
⑤野菜中心の食生活で肉・加工食品を少なくすること
⑥少量の飲酒
⑦信仰に基づくコミュニティに属すること
⑧助け合う仲間をつくること
⑨家族を大事にすること
外部の人との繋がりや、メンタルヘルスについての項目もあるが、9つの要素うち、3つを食事に関する項目が占めているのがわかる。
沖縄の長寿の人々の食生活データをみてみると、戦後であったため食事内容は質素であったことは想像がつく。
食事の中心は米ではなくサツマイモであり、それは食事全体の60%を占めていたようだ。
その他には竹の子、大根、ゴーヤなどの野菜で、肉・魚などの動物性タンパク質はほとんど摂取せずに、大豆などの植物性タンパク質でさえ全体の5%ほどと少なく、脂質はほとんど摂取していなかったようである。
食事のほとんどが炭水化物であることから、タンパク質の量や脂質の質はあまり長寿には影響していないと考えられる。
そのかわり、新鮮な野菜やビタミンEが豊富なサツマイモ、ウコンなどの抗酸化物質豊富な食品を摂取し、それらが長寿の要因に繋がっている可能性が考えられる。
後編は、抗酸化物質と長寿との関係性、そして食事の量について掘り下げていくことにする。
参考書籍
若井 朝彦「江戸時代の小食主義」
青木 厚「『空腹』こそ最強のクスリ」
石黒 成治「医師がすすめる少食ライフ」