【MFA健康コラムVol.123】湿度に負けない、心と体の整え方
梅雨に入ると、空気の重さや気圧の変化が体にじわじわと影響してくる。
「なんとなく調子が出ない」「気分が落ち込みやすい」そんな声を聞くことが多くなるのも、この時期ならではかもしれない。
湿度の高さで汗がうまく蒸発せず、体の中に“余分な水分”がこもることに。それらが”だるさ”や”むくみ”、胃腸の不調として表れ、結果として心のバランスまで乱れてしまうことがあるのだ。
これからの梅雨の“もやもや”を乗り切るために大切なのは、体を動かし、汗をかき、巡らせる、というシンプルな習慣である。
【汗をかくことは、心を整えること】
現代人の多くは、気づかぬうちに“汗をかかない生活”を送っている。とくに梅雨の時期は、気温が高くても湿度のせいで汗が蒸発しづらく、体温調節機能がうまく働かない。
それゆえに、意識的に軽く動き、汗をかくことが重要になってくる。
例えば、朝のウォーキングや深めの呼吸でのストレッチ、湯船につかって汗を流すだけでも、身体の内側にこもった湿を“外へ逃がす”ことができる。
また、汗をかくことで迷走神経が刺激されるという研究もある。この神経は、自律神経のバランスを司り、呼吸・心拍・消化などあらゆる生命活動に関係している。
この迷走神経が整えば、自然と「リラックスできる体と心」へと近づいていくのだ。
【リズムが気分をつくる】
天気の悪い日が続くと、どうしても気分が沈みやすくなる。
これは、日照時間が減ることでセロトニンという“幸せホルモン”の分泌が減ってしまうためとも言われている。梅雨時期、天気の悪い日が続くということは、それらの問題を避けては通れないのだろうか?と心配になるかもしれないが、安心してほしい。セロトニンは太陽だけでなく、「一定のリズム運動」「深い呼吸」「咀嚼」などでも増やすことができる。
たとえば、
・朝の決まった時間に起きて、軽く体を動かす
・リズムよく歩く
・よく噛んで食事をとる
こうした何気ない一つひとつの習慣が、雨の日の“気分の波”を穏やかに整えてくれることだろう。
【この時期に意識したい3つの習慣】
①朝のルーティンを一定に保つ
起きる時間、食事、軽い運動。それらを“毎日ほぼ同じ時間”に行うことが、自律神経の乱れを防ぐ第一歩となる。
②内臓を冷やさない食事を選ぶ
冷たい飲み物や生ものばかりになると、体の内側から“湿”が溜まってしまう。温かい汁物や発酵食品を取り入れ、内臓を温める意識を持ちたい。
③「少し汗ばむ」程度の活動を毎日に
ハードな運動でなくてもいい。階段を使う、一駅歩く、湯船につかるなど、じんわりと汗をかく時間が心身のリセットになる。
体も心も不調をきたしやすい時期であるが、それらの”不調な自分”にダメ出しをするのではなく、「この気候だから仕方ないよね」と受け入れつつ、自分を整えていって欲しい。
それは、派手な変化ではないかもしれないが、“じんわりと整っていく感覚”こそが、健康を支える確かな土台になるのである。
この梅雨を乗り越えるために必要なのは、大きく何かを変えていくことではなく、無理をせず、“自分本来のリズムに戻ること”なのである。まずは日々、心と体の声に耳を傾けながら、ほんの少しの行動を変えてみよう。
参考文献
小林 弘幸「自律神経のなかで最も大切な迷走新駅の整え方」フォレスト出版,2023
有田 秀穂「医師が教える疲れない人の脳:「慢性疲労」を消す技術」三笠書房,2020