【MFA健康コラムVol.86】風邪の予防法は”健康”になること その2
今年の夏は猛暑だと言われているが、その中でもウイルス感染症の流行が多く報告されている。
いわゆる”風邪”に罹患しないようにするためには?
前回に引き続き、予防方法について、お伝えしたい。
【ビタミンで風邪は予防できるか?】
アメリカの物理化学者であるライナス・ポーリングは、1970年に「ビタミンCが風邪の予防に効果的である」ことを発表した。それ以来、ビタミンCをはじめとした栄養素に免疫力を高める効果があることが明らかになってきたのである。
ビタミンCはコラーゲンの生成に関わっており、ウイルスが付着する粘膜を強化する役割を担っている。
ビタミンC以外にも、ビタミンAは粘膜で分泌されるIgA抗体の原料になるし、ビタミンEは抗酸化作用があるなど、風邪を予防する役割をビタミンが担っていると言えよう。
しかし、風邪予防とビタミンに関するメタアナリシス解析では、ビタミンが風邪予防に有効であるという証拠が必ずしも示されたわけではないのである。
つまり、ビタミンを摂取すれば風邪を完全に予防できるわけではない、ということだ。
「ビタミンで風邪は予防できるか?」
これに関する解答は「自分に合ったバランスの良い食事」を摂ることが大切だ、という何とも”当たり前”なことをお伝えすることになってしまう。
世の中には「これが正しい」という情報は調べれば出てくる。
しかし、その情報が自分に合っているのかを理解し、判断するところから始めてみるのが良いかもしれない。
栄養や食事について自分自身での深掘りが難しければ、医療機関で分子レベルの栄養解析を実施し、健康な体を手に入れる治療法であるオーソモレキュラー療法なども選択肢の一つとしてみても良いかもしれない。
【直接体内へウイルスを入れない”口呼吸改善”】
マスク生活の問題点の1つとして、口呼吸になりやすいということが挙げられている。
口呼吸が習慣になっていると、ウイルスの侵入も容易になってくる。
鼻呼吸では、吸い込んだ空気は鼻毛や粘膜の繊毛、粘液によってウイルスや細菌、塵などが取り除かれ、加温・加湿されて肺に送られる。
一方、口呼吸では、鼻のフィルター機能や加温・加湿機能が働かないため、ウイルスや細菌などを含んだ乾いた冷たい空気がそのまま肺に送られる。
また、口呼吸は口の中が乾燥してしまい、感染のリスクを上げてしまう。
口呼吸だと空気をしっかり加湿することができず、鼻呼吸の時と比べて、気管支入り口の湿度は約20%も低くなるという。人は1日に約2万回も呼吸をしているため、湿度20%の差による影響はとても大きくなる。
・睡眠中のいびき・歯軋り
・舌の側面にギザギザとして波形がつく
・起床時に喉の痛みがある
・口を閉じた時に舌の位置が上あごについていない
・口臭が気になる
・たばこを吸っている
・唇がよく乾く
上記に該当する方は、口呼吸の疑いがあるので、風邪の予防の意味も含めて”口呼吸改善”に取り組んでみるのもありかもしれない。
口呼吸の改善は「意識すること」。口周りや舌のトレーニングや、就寝時にテープで口を閉じるなどの方法があるが、自分が取り入れやすい方法を試してみてほしい。
”風邪”と言っても色々な症状、そして予防法がある。
しかし、風邪に限らずほとんどの病を予防するのは「健康的な生活」が一番の特効薬であることを最後にご理解いただきたい。
もちろん、健康と一括りにして「〇〇が体に良い」という情報を手に入れたとしても、それは状況や人によって違うわけだ。
多くを試し、そして専門家の意見に耳を傾けながら、ご自身の”健康”を追求するキッカケになっていただければと思う。
参考文献
仲野 徹,「(あまり)病気をしない暮らし」,昌文社,2018
堀田 修,「自律神経を整えたいなら上咽頭を鍛えなさい」,世界文化社,2020
梅岡 比俊 編集,「臨床経験豊富な100人の専門医が教える!健康医学」,フローラル出版,2021
【vol.83】ウォーキングを指導する上でのポイント その1