【MFA健康コラムVol.42】熱中症についての理解 その2
前回は、熱中症についての理解と要因、対策についてお話した。今回は症状別対処法についてお伝えしたい。
【症状別対処法】
出来るだけの対策と予防を行ったにも関わらず、それでも熱中症になってしまうことがある。熱中症は大きく四つに分類され、その症状別に対処方法が異なってくる。
「熱失神」
炎天下にじっと立っていたり、立ち上がったりしたとき、運動後などに起こる。皮膚血管の拡張と下肢への血液貯留のために血圧が低下、脳血流が減少して起こるもので、めまいや失神(一過性の意識消失)などの症状がみられます。予防としてはこまめな休息はもちろんのこと、症状が出てしまった時は足を高くして寝かせると通常はすぐに回復する。
「熱けいれん」
汗には塩分も含まれる。大量に汗をかき、水だけ(あるいは塩分の少ない水)を補給して血液中の塩分濃度が低下したときに起こるもので、痛みをともなう筋けいれん(こむら返りのような状態)がみられます。下肢の筋だけでなく上肢や腹筋などにも起こります。部分的な筋肉のけいれんから全身に波及することが特徴である。生理食塩水(0.9%食塩水)など濃い目の食塩水の補給や点滴により通常は回復する。
「熱疲労」
発汗による脱水と皮膚血管の拡張による循環不全の状態であり、脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気などの症状がみられる。スポーツドリンクなどで水分と塩分を補給することにより通常は回復するが、嘔吐などにより水が飲めない場合には、点滴などの医療処置が必要となってくる。
「熱射病」
過度に体温が上昇(40°C以上)して脳機能に異常をきたした状態。体温調節も働かなくなってくる。種々の程度の意識障害がみられ、応答が鈍い、言動がおかしいといった状態から進行すると昏睡状態になります。高体温が持続すると脳だけでなく、肝臓、腎臓、肺、心臓などの多臓器障害を併発し、死亡率が高くなってくる。死の危険のある緊急事態であり、救命できるかどうかは、いかに早く体温を下げられるかにかかっている。救急車を要請し、速やかに冷却処置を開始する。
参考までに、大塚製薬が作成している熱中症が疑われる時の応急処置フローでは、「意識があるか?」がまずは救急車の要請の一つの基準となっているが、フロー内に記載があるように「症状が明確でなくても判断に迷うことがあれば、速やかに救急車を要請しましょう」とある。
これからまだ8月中は特に暑い日が続いていくことになる。上記の知識を得ることで終わりにせずに、日常から出来ることを行動に変えて、熱中症の予防と対策に繋げて頂きたいと思う。
参考
大塚製薬サイト「熱中症からカラダを守ろう」監修:京都府立大学 森本 武利
日本スポーツ協会サイト「熱中症を防ごうサイト」
環境省サイト「熱中症予防情報」