【MFA健康コラムVol.128】時間の余白を取り戻す
年が明け、1月。
新しいスタートを切ったはずなのに、気づけば「もう忙しい」「思ったより余裕がない」と感じている人も多いのではないだろうか。
寒さで身体はこわばり、日照時間も短く、心身ともにギアが上がりきらないまま日常が始まっていく。
1月は、そんな“ズレ”を感じやすい時期でもある。この時期に感じる忙しさや疲れは、本当に「時間が足りない」ことが原因なのだろうか。
私たちが見直すべきなのは、時間そのものよりも、時間との向き合い方なのかもしれない。
【時間は、使い方によって意味が変わる】
時間は、誰にとっても平等に与えられている。増やすことも、貯めることも、後から取り戻すこともできない。
だからこそ重要になるのは、「どれだけ時間があるか」ではなく、その時間をどこに使っているのかという点である。
目的がはっきりしないまま過ごしていると、時間は自然と、目の前の用事や惰性の行動に使われていく。それは怠けているからではなく、使い道が定まっていない時間に起こりやすい、ごく自然な流れだといえる。
一方で、「自分はどこに向かっているのか」「何を大切にしたいのか」そうしたゴールが定まっていると、時間の使い方は自然と整理されていく。今やるべきことと、今はやらなくていいこと。その線引きができるようになることで、時間に追われる感覚は少しずつ薄れていく。

【ゴールがあると、余白が生まれる】
年初は、目標や計画を立てる機会も多い。しかし、予定を詰め込むほど、かえって余裕がなくなってしまうこともある。
時間の使い方を変えるために必要なのは、必ずしも作業量を増やすことではない。ゴールを先に定めることで、時間の中に余白が生まれてくる。
余白とは、何もしない時間ではなく、次の行動を整えるための間であり、視野を広げ、考えを深めるためのスペースである。この余白がない状態では、どれだけ動いても、時間はただ消費されていくだけになりやすい。
【休みを起点に、時間を組み立てるという発想】
世界に目を向けると、時間を「働くこと」からではなく、「休むこと」から設計している人たちがいる。
彼らは、仕事の合間にプライベートの時間を待つのではなく、プライベートの時間を軸に、その合間に仕事を配置していく。
まずは休みを決め、その上で働き方を考えるというスタンスだ。仕事とは違う活動をしているときに、仕事のアイデアや解決策が浮かぶことがある。
それは、仕事から一時的に距離を取ることで、視野が広がり、全体像を捉え直せるからだ。
何かに行き詰まったとき、その場で踏ん張り続けるよりも、一度立ち止まり、別の行動をしてみる。それは逃げではなく、状況を整理するための、適切な距離の取り方なのである。

【自由時間を組み込むという時間設計】
こうした時間感覚を象徴するのが、1日を三つに分けて捉えるという考え方だ。
仕事の時間、睡眠の時間、そして自由時間。この自由時間は、単なる休息や娯楽のためだけのものではない。
家族や友人と過ごす、読書をする、文化的な活動に触れる。過ごし方は人それぞれだが、共通しているのは、「自分で選べる時間」であるという点だ。
この時間があることで、人は一歩引いた視点を持ち、物事を多角的に考える余地を得る。結果として、日々の判断や行動にも、落ち着きと柔軟さが生まれてくる。
1日の時間を、「仕事」と「仕事以外」の二分割で考えるのではなく、自由時間を含めた三分割で捉える。そうすることで、仕事を延長して詰め込む余地は自然と減っていく。
1月は、一年の流れをつくる“土台の月”でもある。
だからこそ、勢いよく走り出す前に、一度立ち止まり、時間の組み立て方を見直してみてもいい。
忙しさや疲れを感じたときは、「もっと頑張る」ではなく、どんな時間を大切にしたいかを問い直してみる。
休みを後回しにするのではなく、休みを起点に時間を組み立てる。その小さな発想の転換が、一年を通しての余白とリズムを、静かに支えてくれるのではないだろうか。
参考文献
星 渉「神時間力」飛鳥新社,2023
井上 陽子「第3の時間 デンマークで学んだ、短く働き、人生を豊かに変える時間」ダイヤモンド社,2025
針貝 有佳「デンマークの休む哲学~幸福度も生産性も「いいとこどり」する習慣」大和書房,2025


