【MFA健康コラムVol.127】巡りが免疫をつくる〜食事と運動で整える冬支度〜
朝晩の冷え込みが強まり、体のリズムが少しずつ変化していく季節。
この時期に感じる「疲れやすさ」や「風邪をひきやすい」は、免疫の“めぐり”が滞っているサインかもしれない。
免疫を高めるよりも、まずは心身を整えること。そのために欠かせないのが、食事と運動である。
【免疫は“流れ”で保たれる】
免疫は単なる防御反応ではなく、血液やリンパを通して全身を巡る“流れのシステム”である。この流れが滞ると、免疫細胞の働きは鈍り、体温や代謝も下がりやすくなる。逆に、血流が促進されれば、免疫細胞は全身を回り、体の隅々で機能を発揮する。軽い有酸素運動を1日20分程度行うだけで、副交感神経の働きが整い、免疫の巡りが活性化すると報告されている。つまり、「めぐりを生み出す」ことが、最もシンプルかつ確実な免疫ケアとなってくるのである。

【動かすことで、免疫はめぐり出す】
筋肉を動かすと、ポンプのように血液やリンパの流れが生まれる。ウォーキングやストレッチなどの軽い運動でも、体温が上がり、免疫細胞の活動が促される。一方で、負荷の高すぎる運動はストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を増やし、免疫を一時的に下げてしまうこともある。目安は、“少し息が弾む程度”。日常生活の中に「歩く」「伸ばす」「温める」を取り入れることで、体のリズムは自然に整っていく。運動は良薬であるが、何事も適度に実施することが大切なことである。

【食べることは、免疫の材料をつくること】
食事は、免疫システムを支える最も身近なアプローチである。腸には全身の約70%の免疫細胞が存在するとされ、腸内環境を整えることが、免疫バランスを維持する鍵となる。発酵食品(納豆・味噌・ヨーグルト)は腸の善玉菌を増やし、たんぱく質(魚・卵・豆類)は免疫細胞の材料になる。さらに、ビタミンCやEを多く含む野菜や果物、ナッツ類は抗酸化作用を持ち、免疫の過剰反応を抑えてくれる。温かい汁物や根菜を中心にした食事を意識することで、体温を保ち、免疫の巡りを助けることができる。言われれば当たり前の健康食も、気付けば外食や加工食品に優先度を取られがちなのかもしれない。少し普段の食事を俯瞰するキッカケにしてみよう。
免疫を高める特別な方法は存在しない。”よく動き、よく食べ、よく温める”、その積み重ねが、免疫を安定させる最も現実的な方法なのだ。
体温が1℃下がると免疫力は30%低下すると言われており、日々の温活や軽い運動がそのまま“防御力”になる。
寒さが増すこれからの季節、「めぐりを止めない」意識を持つことが、冬を健やかに過ごすための準備になり、流れを整えることに繋がっていくのである。
その一連の流れが、結果的に免疫を育てるということなのだ。
参考文献
森 由香子「免疫力は食事が9割」青春出版社,2020
小林 弘幸「免疫力が10割 腸内環境と自律神経を整えれば病気知らず」プレジデント社,2020


