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【MFA健康コラムVOL.13】「新食事摂取基準」における、日本人の食生活

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MFAオフィシャル健康コラム

【MFA健康コラムVOL.13】「新食事摂取基準」における、日本人の食生活

「新食事摂取基準」における、日本人の食生活


2020年度より、食事摂取基準が新基準となります。
今回のコラムでは、「新基準の活用のしかた」「高齢者になってからのリスク軽減の方法」などについて取り上げます。

 

 

●食事摂取基準が見直されます

5年ごとに内容を見直しながら運用されている「日本人の食事摂取基準」(健康増進法に基づき、国民の健康保持や増進を図るうえで摂取が望まれるエネルギーや栄養素の量の基準を、厚生労働大臣が定めたもの)は、来年度から新たな基準にて運用されることとなります。
新基準では、従来から参考にされてきた資料に加えて、高齢者の健康や生活習慣の状況を調べたデータをもとに現状の健康課題を踏まえ、栄養に関連した身体・代謝機能低下回避のための活用の考え方などがまとめられています。

 

・現状の健康課題とは
高齢者における低栄養傾向や四肢の筋肉量減少が、フレイル、サルコペニア(加齢による筋力などの弱化)のリスクにつながっています。
20~50歳代のやせの女性(BMI18.5未満)の割合が各年齢段階で10%以上、特に20歳代では21.7%となっており、骨量減少、低出生体重児出産等のリスクとの関連が指摘されています。
(数値はいずれも2017年の国民健康・栄養調査より)

 

 

●健康課題を踏まえた新基準のポイント

・2020年度版食事摂取基準策定の方向性

(「健康づくり 2019.9」より引用)

 

 

・エネルギーの摂取と消費の指標にBMIを採用
新基準でも、現基準から採用されているBMIを、エネルギー摂取量と消費量のバランス維持を示す指標に採用しています。

 

・栄養素の指標は現基準と変わらず

引き続き「摂取不足の回避」、「過剰摂取による健康障害の回避」、「生活習慣病の発症予防」の3つの目的と、「推定平均必要量、推奨量、目安量、耐容上限量、目標量」の5つの指標で構成されています。

 

・新基準から50歳以上の年齢区分を見直し
高齢者の年齢区分を、従来は「50~69歳以上」「70歳以上」としていたものを見直し、新基準では「50~64歳」「65~74歳」「75歳以上」としました。
後期高齢者医療制度に大きくかかわり、フレイルへの素早い対応が求められる75歳以上の人口割合が13.3%(2017年)となっている点にも配慮した細分化だと考えられます。

 

 

●栄養素を含めた食事摂取状況を認識することが重要
・食事改善(個人)を目的とした食事摂取基準の活用による食事摂取状況のアセスメント

(「健康づくり 2019.9」より引用)

 

新基準を活用するには、習慣的にどのような栄養素をどのくらい摂取しているかを把握し、各指標で示されている値と比較した上で、過不足分をアセスメントする必要があります。
ただ、日々食べる食品の種類や食欲などの個人差があるため、大きな測定誤差があることを理解した上で、アセスメントを行う必要があります。

 

 

●要注意のフレイル、サルコペニアとは?

新基準では、現基準の策定目的である「健康の保持・増進」や「生活習慣病の発症予防・重症化予防」に加えて、新たに「高齢者の低栄養予防・フレイル予防」が加えられました。
新基準の策定目的の大きなポイントであるフレイルとは「老化に伴う機能低下を基盤とし、様々な健康障害に対する脆弱性が増加している状態」を指しており、高齢者が要介護状態になるリスクとしてあげられています。

フレイルの一因に挙げられるのがサルコペニアです。
サルコペニアとは「加齢や老化に伴う筋力や筋肉量の減少」のことで、低栄養で発症するといわれています。
それが、活力や身体能力の低下→活動度、消費エネルギー量の減少→食欲低下→栄養不良というフレイル・サイクルを生んでしまいます。

 

●知っておきたい要介護リスクの回避法

フレイルとサルコペニアの予防に重要なのは骨格筋とその機能維持です。
骨格筋量、筋力、身体機能は、たんぱく質摂取量が関連しているとされています。
たんぱく質を多く摂取している高齢者はフレイルのリスクが低いという研究結果があり、米国での研究でも、たんぱく質の摂取量を増やせばフレイルの発症率が下がるという予想が報告されています。

サルコペニア予防に大切と考えられているのが、十分なたんぱく質の摂取とレジスタンス運動(筋力トレーニング)。運動とたんぱく質摂取を組み合わせると、運動のみを行うよりも筋肉量が増し、その質も改善されるという結果が出ています。

 

 

健康寿命を延ばすためには?

・塩分の過剰摂取に注意
ナトリウム摂取量を減らすことが、生活習慣病の発症・重症化予防には欠かせません。

各国のガイドラインでは、高血圧の予防や治療には1日あたり6g未満が望ましいとされ、2012年のWHOのガイドラインでは1日あたり5g未満を強くすすめています。
しかし「2016年国民健康・栄養調査」を見ると、中央値で1日あたり男性が9.8g、女性が8.5gを摂取していることがわかります。

望ましいナトリウム摂取量は、現状5g/日は実現可能性が乏しいため、新基準では国民健康・栄養調査の中央値と5g/日の中間値をとった、現基準より引き下げられたものとなっています。

 

・効率的にたんぱく質を摂取する

現基準のたんぱく質摂取量は、1日あたり70歳以上の男性で60g、女性で50gです。
しかし今後の課題であるサルコペニアを予防するためには、これよりも多くのたんぱく質の摂取が必要という研究資料も示されています。

新基準では身体活動レベルに応じたたんぱく質の目標量が示されており、75歳以上の身体活動レベルが普通の男性で79~105g/日、女性で62~83g/日となっています。

たんぱく質量の目安として、豚肉と鶏肉と青魚ではそれぞれ60gあたり12g、牛乳200mlには6gが含まれています。

 

【主な食品のたんぱく質量の目安】

 

 

青魚 60g <12g>
豚肉 60g <12g>
鶏肉 60g <12g>
納豆パック(40g) <6g>
米飯 200g <5g>


 

チーズ1かけ(20g) <5g>

卵1個 <6g>
木綿豆腐1/4丁(80g) <6g>
牛乳コップ1杯(200ml) <6g>
ヨーグルト 75g <3g>

 

 

・ビタミンDも大切

骨粗鬆症で骨折するリスクを軽減するために、注目が高まっている栄養素がビタミンD。
カルシウムと、その吸収をうながすビタミンDの摂取量を増やすことで、骨粗鬆症による骨折のリスクだけでなくフレイルのリスクも軽減できるといわれています。
例えば、魚はビタミンDだけでなくカルシウムも多く含まれる、一石二鳥の食材です。

また、ビタミンDは紫外線を浴びることで皮膚でも生成されます。
新基準では、日光浴を適度に行うその効果にも触れています。

 

これらの目安をもとに、新しい食事摂取基準を活用して、これからの健康に役立てたいものです。
たんぱく質の摂取量を増やし、食塩の摂取量を減らし、適度な運動や日光浴を意識して毎日を過ごすことで、
少しでも健康寿命を延ばしていきたいですね。

 

 

このように、厚生労働省では「高齢者のフレイル対策」を最も重要な課題の一つと位置付けています。
フレイル予防を普及啓発するためのツール等を作成するなど、健康寿命延伸への取り組みを進める予定で、
新しい食事摂取基準の活用したフレイル対策が更に進むことが望まれています。

 

 

 

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