【MFA健康コラムVol.131】4月は「自分を支える力」を育てる季節
新年度が始まり、環境や役割が変化する四月。
新しい出会いや挑戦が増える一方で、知らず知らずのうちに緊張やストレスを感じやすい時期でもある。
三月に整えた心と体の土台をもとに、この時期に大切にしたいのは、「自分を支える力」を育てていくことである。
環境が変わると、人は無意識のうちに他者と自分を比較したり、「うまくやらなければ」と自分にプレッシャーをかけたりする。こうした思考は自然な反応ではあるが、それが強くなりすぎると、行動が制限され、本来の力を発揮しにくくなる。
ここで重要になるのが「自己肯定感」である。
【自己肯定感は人生を支える土台である】
自己肯定感とは、自分が自分であることに価値を感じ、受け入れることのできる感覚である。
それは単なるポジティブ思考ではなく、うまくいっているときも、そうでないときも、自分を大きく否定せずにいられる状態を指す。
自己肯定感が安定している人は、環境の変化に対しても柔軟に適応しやすい。
一方で、自己肯定感が低下していると、不安や比較に引き込まれやすくなり、行動する前に立ち止まってしまうことが増えていく。
つまり、自己肯定感は行動の前提となる「心の土台」であり、健康やパフォーマンスにも大きく関わっている。
【自己肯定感は6つの感覚で支えられている】
自己肯定感は一つの要素で成り立っているのではなく、いくつかの感覚が重なり合って支えられている。
・自分を大切に思う感覚(自尊感情)
・ありのままの自分を受け入れる感覚(自己受容感)
・自分にはできると感じる感覚(自己効力感)
・自分を信じる感覚(自己信頼感)
・自分で選択しているという感覚(自己決定感)
・自分が役に立っているという感覚(自己有用感)

出所=中島輝『何があっても「大丈夫。」と思える子に育つ 子どもの自己肯定感の教科書』SBクリエイティブ,P156
これらは木の成長に例えられることが多く、根・幹・枝・葉のように、それぞれが影響し合いながら全体を支えている。一つだけを高めようとするのではなく、日々の経験の中で少しずつ育てていくことが重要である。
【感情はコントロールできるスキルである】
日々の生活の中で、気分が落ち込んだり、不安が強くなったりすることは誰にでもある。こうした感情はホルモンの影響も受けており、ドーパミンやオキシトシンといった物質が分泌されると安心感や幸福感が高まり、逆にコルチゾールが増えるとストレス状態になりやすい。
重要なのは、感情に振り回されるのではなく、整える方法を知っておくことである。
呼吸を整える、身体を動かす、手を動かす、環境を整えるといった行動は、神経系に働きかけ、感情の安定につながる。感情は自然に湧き上がるものであるが、その扱い方は習得できるスキルでもある。
【小さな行動が自己肯定感を育てる】
自己肯定感を高めるために特別なことをする必要はない。むしろ大切なのは、小さな行動を積み重ねることである。
・今日やるべきことを一つ終える
・少し体を動かす
・誰かに感謝を伝える

こうした小さな行動が達成感を生み、その積み重ねが「自分はできる」という感覚を育てていく。
これは脳の報酬系にも関係しており、小さな成功体験が次の行動を促す循環をつくる。
【自分を整えることが、結果として前進につながる】
四月は、新しい環境の中で自分の立ち位置を模索する時期でもある。だからこそ、周囲に合わせすぎるのではなく、自分自身の状態に目を向けることが重要になる。
思考を整えること。 感情を整えること。 行動を整えること。
これらを日々積み重ねていくことで、自己肯定感は安定し、自然と前に進む力が生まれてくる。
新年度のスタートは、完璧を目指す必要はない。揺れながらでも、自分を受け入れ、少しずつ前に進んでいくこと。その積み重ねが、一年を通して大きな成長へとつながっていくだろう。
参考文献
ジョセフ・グエン(著)・矢島 麻理子(翻訳)「考えすぎない練習」ディスカヴァー・トゥエンティワン,2025
中島 輝「何があっても「大丈夫。」と思えるようになる 自己肯定感の教科書」SBクリエイティブ,2019


