【MFA健康コラムVol.32】ストレスの向き合い方 その2
前回は、心理的危険状態をお伝えしました。今回は、心理的安全状態を生むスキルと具体例の紹介です。
【心理的安全状態を生むスキル】
心理的安全状態を生むスキルも紹介したい。ストレスが慢性化・過剰化した時点で慌てて対策するのではなく、日頃から心理的安全状態の手助けとなる情報を脳にストックしておくことが重要である。
具体的には、「どうしたら自分が落ち着くだろうか。どうしたらリラックスできるだろうか。」そんな存在や場所・モノを改めて認識してみることである。
ある場所に行く。あるものを食べる。ある人に会いに行く。書き出す。誰かと話す。
ストレスが過剰になっている状態では、自分を癒す存在を新たに探すのに注意を向ける脳の余裕がない。だからこそ、普段から、「普通の状態」や、「特に何もない。大丈夫。」という自分で居る時に、自分の心理的安全性を生むモノ・コト・ヒトなどの存在を認識し、深く脳に記憶として保持しておくことが大切になっている。
【ジャーナリング】
前述した心理的安全状態を生むスキルの一つに「書くこと」があった。これについてはマインドフルネス分野でも取り入れられている「書く瞑想」たるジャーナリングがある。
この記事を読んでいる方は、普段からどれほど「書く」ことをしているだろうか?日記を書いたり、メモを記したり。様々な表現方法があるが、人に話をして「楽になった」という感覚に近い状態に、「書くこと」でもなれるとしたらどうだろうか?
ジャーナリングの効果には様々な研究を通して、「実践者の心身をマイナスから通常の状態まで回復させる側面と、もともとプラス状態の心身を維持し、さらに向上させていく側面」がある。
「健康に関する効果」では「マイナス状態からの回復」に当たるものが目立つが、「社会的、行動的な変化」ではスポーツパフォーマンスの改善や学業成績の向上のように「もともとプラスの状態」でありながらそれをさらに維持・向上させていくジャーナリングの働きについても指摘されている。
【8つの心得】
吉田典生著書「『手で書くこと』が知性を引き出す」において、ジャーナリングの8つの心得が記載されているので紹介したい。
①一定時間、書き続ける。
②脚色せず事実をあるがままに書く。
③(他人の目を気にすることなく)あるがままに書く。
④文法や文章、文字の誤りなどは気にせず自由に書く。
⑤リラックスでき、かつ集中して取り組める空間を整える。
⑥始める前にマインドフルネス妄想(呼吸法)などのウォーミングアップ、書いた後の内省と気付きの記録までを含めてジャーナリングの1セッションとする。
⑦力を入れずに文字を書ける芯が柔らかめの鉛筆を使う。
⑧紙は線が入っていない白紙かシンプルな罫線のみの物を使う。(愛着が湧くようなノートも良い)
「書くこと」というシンプルな行いの中に、心身へ良い影響を与えるキッカケがある。コロナの自粛により思うように動けず、会いたい人に会えない、行きたい場所に行けない方にとっては、自分1人で完結できる心理的安全状態を生むスキルになるのではないだろうか。
次回は、ジャーナリングを更に深めてお伝えしようと思う。
参考著書
『手で書くことが知性を引き出す』 吉田 典生
『アウトプット大全』 樺沢 紫苑
『ブレインドリブン』 青砥 瑞人
【MFA健康コラムVol.26】健康づくりのための身体活動基準
【MFA健康コラムVol.27】チャレンジの仕組みを紐解く その1