【MFA健康コラムVol.31】ストレスの向き合い方 その1
【不安定な時代に】
今の私たちは、「 VUCA world 」と呼ばれる見通しの立てにくい社会で生きている。この言葉は、US Army College(米国陸軍大学)が名付けたもので、今日の世界情勢を表している。
2020年から流行している新型コロナウイルス感染症のように、当たり前だった日常が変わり、しかもこれからどう変わっていくのかも不透明。その背景にはコロナのみに限らず、様々な要素が入り組んだ社会の複雑性がある。結果として、いったい何が問題で、どこに有効な解決策があるのか分からない。
そんな世界情勢は、心身へのストレスを増大させる要因となっている。
【心理的危険状態】
心身へのストレスの増大は脳内が心理的危険状態に陥ることになる。
この状態になると、脳は「考えている場合じゃない、逃げよ。もしくは戦え。」のモードを優先させる。その結果、意識的な思考をする機能が失われ、思い描いた行動とは違った行動をとる確率が高くなる。
心理的危険状態になるのは、恐怖や不安が原因であるが、それ以外の要因として考えられるものの一つに、自分の脳内に「記憶がない情報」がある。
新しいもの、異なるものに脳は拒否反応しやすい。自分の考えとは異なる情報、新しい情報は、心理的危険状態へ導きやすい。その結果、その情報に回避的になったり、否定的になったりする。何も知らない状態、曖昧な状態は、不安や恐怖を感じやすく、否定的、回避的になりやすい。
そのような危険状態を、安全状態に移行させるには、目的やゴールを設定することが活用できる。
前述したように、脳は曖昧な状態だと不安を感じやすく、前進しにくいという特徴を持っているからである。
その目的やゴールを達成することが大切なのではなく、あくまで「設定」することである。
また、曖昧無知な状態では不安や恐怖を感じやすい脳の特性を知った上で、「その状態を受け入れる」ことも大切である。
「無知の知」という言葉があるが、これは無知であることを知る重要性を説く言葉だ。自分が知らないことを知っている、できていないことを知っている状態にも通じる。この課題に普段から取り組むとしたら、新しい知識(知らない分野など)を取り込む習慣や、通勤・通学の道を変えてみる、普段は入らないお店に入ってみるなどの「新しい知らない情報」を日常の中に意識的に取り入れる方法もある。
次回は、心理的安全状態を生むスキルとその具体例をお伝えしましょう。
参考著書
『手で書くことが知性を引き出す』 吉田 典生
『アウトプット大全』 樺沢 紫苑
『ブレインドリブン』 青砥 瑞人
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