【MFA健康コラムVol.25】散歩の由来
~散歩の由来~
朝夕は肌寒い季節になってまいりました。いかがお過ごしでしょうか?空気も乾燥し、体調を崩し易い季節です。スポーツの秋でもあるこの秋に、手軽な散歩から運動を始めてみてはいかがでしょうか?散歩の効果についてはバックナンバーをご覧ください。
今回は散歩の由来をご紹介します。
※諸説あります。
◇時は幕末、長崎
ある証言があります。
幕末、長崎の海軍伝習所において医学を教えたオランダ軍医ポンペの回想録で、【決まった目的もなく楽しく散歩することを日本人はほとんど知らない】(『日本滞在見聞記』)と、嘆いている言葉が残っています。
当時、ポンペの医学校に通う生徒たちは、外科や内科の授業には押しかけても、気候や環境と健康の関係などを教える『衛生学』となると誰も出席しなかったようです。そこでポンペは、コレラの流行を機に、学生たちに衛生学の重要さを説きながら長崎の町を散歩させていたようです。
歩きながらポンペは『臭い溝、汚物の山や汚い塵の積もったところを見せて、これらのものが人類の衛生上恐るべき害をもたらす』ということを説きました。その効果は絶大でした。
なぜなら、
『その後、学生自身の手でこれらの有害物を除去することに熱心に努力するようになった。日本人のほうがわれわれオランダ人より進歩しているといわねばならない』
と舌を巻いていたようです。
◇動くことで見える世界が変わる
興味を持って歩くと、初めて見えてくるものもあり、それは次の行動への動機となります。『気づき』は、散歩によって生じ、次の行動への『動機』を生むともいえます。
何億年前の地球上に生息していた動物には、今の人間のような精神作用はなかったはずです。思考や感情はなく、まさしく動く物=動物として存在していました。動き回ることで環境に適応し、様々な状況を記憶するために脳が発達したと考えると、前提となる動き回る【散歩】という行為は、人間にとっても必要不可欠なことと考えることが出来るかもしれません。(参照、「動きが心をつくる」春木 豊)
当時、長崎海軍伝習所には勝海舟もいて、オランダ人教官たちの散歩に興味を持ったようです。『なぜ、西洋人はぶらぶら歩きをするのか?』とオランダ海軍士官に尋ねると、士官は、『これをプロムナードという』と教えてくれました。
【プロムナード=歩くことを楽しむこと】といった意味であり、さらに、オランダ人教官はこうも続けました。『時間さえあれば市中を歩き回って、何事となく見覚えておけ。いつか必ず用に立つ』歩くことを楽しみながら見聞を広める。そのプロムナードという言葉に海舟は「散歩」という言葉を充てました。これが日本語の「散歩」の起源です。
そもそもの「散歩」の語源は、漢方の劇薬を飲むときの服用法で、飲むとすぐに体内で循環・吸収するように、汗が流れるほど歩くことを指します。それが漢方の「散歩」です。
海舟が「歩くことを楽しむ=プロムナード」を「散歩」と訳したのは、用もなく歩き、見聞を広めることは、劇薬がからだに効くような効果があると頭に閃いたからかもしれません。後に海舟は左遷されました。暇になると、江戸中を「散歩」したようです。あらゆる階層の人々を見聞し、町火消の親分とも知り合って、「火消の親分」は「火付の親分」でもあることを知ったようです。間もなく明治維新の戦争で、江戸城を武力攻撃しようとする西郷隆盛に、そんなことをしたら「江戸には四八組の火付の親分がいるから、江戸を火の海にする」と啖呵を切ったそうです。
海舟は【散歩によって得た知識】、「火消」は「火付」に転じることを知っていたのかもしれません。海舟の実践した「散歩」が、江戸城無血開城という驚くべき発想をもたらした可能性もあるということです。
散歩を「動くこと」と捉えると、その動きによって環境を変え、また精神状態をも変えることに繋がる可能性があります。その為にも、動くために必要な健康な体を手に入れておくこと。日常的に自身のコンディション把握・向上に努めること。大きな時代の畝りの中にいる2020年。自らを健全に保つ意味でも、ぜひ、散歩から始めてみてはいかがでしょうか。
参考文献
「散歩学のすすめ」吉川 愛哲
「動きが心をつくる」春木 豊
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◇講習会情報
【受付中】ウォーキングトレーナー養成講習会 大阪会場
日程:2020年12月6日(日)
会場:大阪ハイテクノロジー専門学校 第2校舎
※お申込み・詳細については下記URLからご確認ください。
▼介護予防トレーナー▼
https://mfa.or.jp/kaigo/
▼ウォーキングトレーナー▼
https://mfa.or.jp/walking/
▼各講座日程▼
https://mfa.or.jp/calendar_apply/
メディカル・フィットネス協会は、
健康測定などの医学的及び体力的資料に基づく適切な身体活動を通した健康づくりに関する事業(メディカル・フィットネス)の活動をもって生活習慣病の予防と健康管理増進を図り、QOL(生活の質)の向上に寄与する事を目的としています。
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